The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP2] 1. Taxonomy / Epidemiology / Infectious diseases -b. Epidemiology and molecular epidemiology

[ODP-010] Survey of MRSA rates in Staphylococcus aureus isolated from sewage in Saitama, Japan

Miyo Murai, Kozue Kishii (Div. Lab. Sci., Dept. Health Sci., Saitama Pref. Univ.)


我が国のAMR対策アクションプランでは,黄色ブドウ球菌におけるMRSAの割合を2020年までに20%未満にする数値目標が設定された.しかしJANISの集計では,2020年の入院検体で48%,外来検体でも31%と目標達成に至っていない.市中でMRSA保菌の多さも原因の一端と考えられるが,健常者のMRSA保菌の実態はわかっていない.人々の生活排水を含む下水にはあらゆる常在菌が混入していて,少ないが黄色ブドウ球菌も含まれる.本研究では,市中のMRSA率調査を目的に下水から黄色ブドウ球菌の分離を試みた.調査対象は,埼玉県内の下水処理場2か所から隔月で,2020年10月~2021年8月までと,2021年4月~10月までに採取した下水流入水とした.X-SA平板(ニッスイ)10枚に下水を0.1 mlずつ接種し37℃で一晩培養し,翌日形成された青色コロニー約60個をX-MRSA平板(ニッスイ)に穿刺し増殖を認めた菌株について,Multiplex-PCR法にて黄色ブドウ球菌特異的耐熱性ヌクレアーゼ遺伝子nucmecA遺伝子を検出し同定及びMRSAの確認を,またコアグラーゼ型別とSCCmec型別で菌株を識別した.X-SA平板には十数個のコロニーが発育し,105オーダーで下水に含まれる大腸菌等の増殖は抑制された.下水の黄色ブドウ球菌濃度は約100 CFU/mlで,MRSA率は平均12.1%だったが,3.4~31.6%と採取月によってばらついた.4月までに分離された37株のMRSAは,コアグラーゼVII型・SCCmecVIaが27株,次いでコアグラーゼIII型・SCCmecVINTが7株,その他1株ずつで5つの型に分かれ,月毎に主要な型の入れ替わりもあった.今後ゲノム解析や薬剤感受性試験を行い,下水由来MRSA株の特徴を明らかにし,臨床株との比較を試みる.