第95回日本細菌学会総会

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オンデマンド口頭発表

[ODP4] 1. 分類・疫学・感染症-d. 検出・同定・診断の技術

[ODP-020] LAMP法を用いた肺炎球菌の莢膜型の同定

飯島 孝太1,高野 智圭2,関 みつ子1,2,常 彬3,早川 智2,星野 倫範1 (1明海大・歯・小児歯,2日本大・医・微生物,3感染研・細菌第一部)


【背景】肺炎球菌ワクチンの導入以来,肺炎球菌感染症は減少している.しかし,ワクチンターゲット以外の莢膜型による肺炎球菌感染症が報告されている.同菌の莢膜型の簡便な検出法は,国内や世界的な感染症の動向を知り,効果的なワクチン接種計画および感染抑制において有用である.今回,我々は23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)に含まれる莢膜型(2,8,9N,10A,11A,12F,15B,17F,20, 22F,33F)を迅速かつ簡便,安価に同定する目的から,loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法を用いた検出法を開発したので報告する.
【方法】各莢膜型に特異的な塩基配列に対しLAMP法のプライマーを設計した.23種の莢膜型及び関連する莢膜型を有する基準株及び臨床分離株計55株を用いて,新たに開発された方法の検出感度および検出特異度を従来法のPCR法と比較し評価した.
【結果】LAMP法の特異度は良好で,ワクチンターゲット以外の莢膜型との交差反応を認めなかった.また,LAMP法は102DNAコピーまでの検出が可能であり,PCR法と同等もしくはそれ以上の感度を認めた.
【考察】LAMP法は迅速かつ簡便な検査法であり,世界各国で使用できる可能性があるが,疫学調査への応用にはさらなる臨床的評価が必要である.
共同研究者; Lee J, Yoon Y, Kim EJ, Lee D, Baek Y, Kim DW, Hanyang Univ., Korea; Kilgore PE, Wayne State Univ., USA