[ODP-116] Porphyromonas gingivalis ジンジパインによるCOX-2発現とPGE2産生におけるカルシウムチャネルの役割
Porphyromonas gingivalis(Pg)は歯周病細菌として慢性歯周炎に深く関連する.歯周炎ではCOX-2発現とPGE2産生が認められる.我々はこれまでに単球系細胞に対するPg感染により,本菌が産生するジンジパイン(Gps)がCOX-2発現とPGE2産生に関与し,さらにその分子解析から細胞外から流入する細胞内カルシウム(Ca2+)の濃度上昇が重要であることを示してきた.本会では,GpsによるCOX-2発現とPGE2産生における細胞内Ca2+供給に関わるCa2+チャネルを介した分子解析を行ったので報告する.細胞外Ca2+キレート剤EGTAとCa2+チャネル阻害剤SKF-96365を用いて,Pgによる単球系細胞株THP-1に対する感染実験を行ない,ERKとIKKの活性化,AP-1構成因子のc-Junとc-Fosの発現と活性化,およびCOX-2発現とPGE2産生における各薬剤による効果を調べた.各タンパク質の発現と活性化は特異的抗体を用いたWestern blotting法にて,PGE2産生はELISAにて評価した.その結果,各薬剤の処理によって,ERKとIKKの活性化,c-Junとc-Fosの発現と活性化,COX-2の発現は未処理のものと比べて抑制された.さらにPGE2産生に対する各薬剤の効果を調べた結果,未処理のものと比べて抑制された.以上のEGTAとSKF-96365を用いた実験から,GpsによるCOX-2発現やPGE2産生に繋がるメカニズムとして,細胞膜上のCa2+チャネルによる細胞外からのCa2+流入が必要であることが示唆された.