The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP25] 5. Pathogenicity -e. Infection models

[ODP-156] Pneumococcal triosephosphate isomerase binds to host plasminogen and promotes its activation

Satoru Hirayama1, Hisanori Domon1,2, Takumi Hiyoshi1,2,3, Toshihito Isono1, Hikaru Tamura1,3, Karin Sasagawa1,3, Fumio Takizawa1,3, Yutaka Terao1,2 (1Div. Microbiol. Infect. Dis., Niigata Univ. Grad. Sch. Med. Dent. Sci., 2Cent. for Adv. Oral Sci., Niigata Univ. Grad. Sch. Med. Dent. Sci., 3Div. Periodontol., Niigata Univ. Grad. Sch. Med. Dent. Sci.)


肺炎球菌は肺炎や中耳炎,副鼻腔炎などの非侵襲性疾患だけでなく,菌血症や敗血症,髄膜炎などの侵襲性疾患を引き起こす.はじめに,感染に関与する肺炎球菌のタンパク質を同定するため,肺炎球菌感染マウスの気管支肺胞洗浄液をプロテオーム解析した.その結果,肺炎球菌の全タンパク質の1%にも満たない15のタンパク質を同定した.これらは感染時に発現していることが示唆される.これらのうち,トリオースリン酸イソメラーゼ(TpiA)に着目し,感染に関与する機能を解析した.
組換えTpiAを作製し,Far-western blottingおよびBiacoreによって宿主分子との相互作用を解析すると,TpiAはヒトプラスミノーゲンに結合性を示した.プラスミノーゲンは,組織型およびウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子によってプラスミンに活性化されるが,TpiAはこの反応を添加量依存的に促進した.一方で,TpiAはプラスミンによって分解された.また,肺炎球菌の自己溶菌酵素オートリシンの遺伝子欠損株(ΔlytA)を用いて,培養上清に放出されるTpiA量を比較すると,ΔlytA株ではTpiA量が顕著に減少した.
肺炎球菌のTpiAは,本来は細胞内で機能する解糖系の酵素の一つである.しかし上述の結果から,自己溶菌によって多くのTpiAが細胞外に放出され,宿主のプラスミノーゲンと結合し,さらに,プラスミノーゲン活性化,すなわちプロテアーゼ活性を有するプラスミンへの変換を促進することが示唆された.肺炎球菌TpiAは,宿主プロテアーゼを菌体周囲に集積させ,宿主組織への侵入に利用することが推察される.