[SS1-2] Breath-omics for small animal model and its application
新型コロナウイルスが出現して2年以上経っているが,依然として感染症が拡大し続けている.新型コロナウイルスは呼気や咳などに含まれるエアロゾルによって伝播されるとされている.エアロゾルのサイズは直径0.1μmから100μmまで非常に多様である上,サイズによって飛距離や滞空時間が異なることから,新型コロナウイルスを含むエアロゾルを完全に防御することは一般生活において極めて困難であり,感染拡大の主要な原因である.このように,エアロゾルの産生機序ならびにエアロゾルに含まれる成分の全貌解明が今後の感染対策において喫緊の課題といえる.感染や疾患におけるエアロゾル研究においてモデル動物を用いた研究は非常に重要である.特にマウスといったモデル動物は遺伝子改変実験や介入試験といったヒトでは困難な研究が可能であり基礎研究のみならず前臨床試験としても欠かせない.しかし,モデル小動物由来の呼気回収装置や呼気成分の解析方法については,既製の装置やプロトコルが存在しておらず,次世代呼気医学・医療を確立するうえで大きな障害となっている.そこで,本講演では,我々が独自に設計・製作したモデル小動物由来の呼気凝縮液装置を紹介するともに,同装置から回収したマウス呼気凝縮液を用いたターゲット・ノンターゲットオミックス解析結果を紹介することで,感染症のみならず様々な疾患における呼気オミックスの有用性について議論する.