第33回日本がん看護学会学術集会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム2
がんゲノム医療の現状と課題
~その人らしさを支えるための個別化医療~

2019年2月24日(日) 09:00 〜 11:00 第3会場 (福岡国際会議場 メインホール)

座長:青木 美紀子(聖路加国際大学大学院 准教授),岡本 泰子(熊本大学医学部附属病院 看護部)

 平成30年3月厚生労働省は、がんゲノム医療を推進するために、中核拠点病院11施設、連携病院100施設を認定した。がんゲノム医療は、がん患者の遺伝子変異を明らかにすることで、従来のがん種ごとの治療方法に加え、がん患者一人一人の遺伝子変異に応じた個別化されたその人らしい治療方法を検討することを目指す医療である。がん患者の体細胞のゲノム(全遺伝情報)を調べて治療に活かすことで、患者にとって治療の最適化を図る。しかしその一方で、検査や治療にあらたな意思決定を迫られる。遺伝情報から提示される薬剤には、保険診療が適応される標準的な抗がん剤や分子標的治療薬に限らず、治験中や保険適応外の薬剤、中には現時点では治療法が見いだせない結果となることもある。さらに、検査したことによって受け継がれる遺伝性のがんであることがわかった場合(二次的所見)は、家系内にどこまでその事実を伝えるかといった課題がおこることが予測される。
 そこで本シンポジウムでは、現在、急速に広がりつつあるがんゲノム医療が抱える現状と課題に焦点を当て、その人らしさを支えるための個別化医療のあり方について、多職種でのディスカッションにより今後のより良い方向性を探りたいと考える。
 まず、看護職のがんゲノム医療の現任教育プログラムを推進されている立場から臨床の現状について俯瞰し、それらに必要な看護教育を示していただく。次に、中核拠点病院の医師の立場から、現場での体制整備の実情、運営内容について紹介していただく。さらに、がんゲノム医療に携わる認定遺伝カウンセラーの立場から捉えた現状と課題および看護職に期待する役割・将来展望について紹介していただく。最後に、遺伝看護専門看護師の立場から、看護のスペシャリストとジェネラリスト、認定遺伝カウンセラーやソーシャルワーカー等の多職種との連携・協働および患者支援の現状や課題を紹介していただく。
 以上を踏まえて、がんゲノム医療における患者・家族のその人らしさを支えるための支援のあり方について取り組むべき課題を探りたいと考える。