日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Gp] 穀物

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 G会場 (3F N305)

座長:梶野 涼子(十文字学園女子大学)、大能 俊久(福井工業大学)、青木 法明(農業・食品産業技術総合研究機構)

16:45 〜 17:00

[2Gp-07] 製パンにおける酵素リパーゼと乳化剤の最適添加量の検討

*森 純希1 (1. 帯広畜産大学大学院)

キーワード:パン、リパーゼ、乳化剤

【目的】 製パン業界では製パン性を向上させるため様々な製パン改良剤が使用されている.モノグリセライドやジグリセライドなどの乳化剤は,デンプンの老化防止のため製パンに利用されている.一方リパーゼも製パン工程中にモノグリセライドやジグリセライドを生成して同様の効果を示すが,これらを併用して製パンに利用した研究はほとんどない.先行研究では,併用して製パン性を評価したところ,パンの硬さと比容積において相加効果が見られたことから,中心複合計画に基づき製パン試験を実施し,応答局面法によりこれらの最適な添加量を検討した.本研究では,中心複合計画における軸上点および中心点の値を変えた条件を追加して最適添加量の比較検討を行った.
【方法】 製パンは標準的食パン配合によるノータイム法で行った.中心複合計画におけるリパーゼと乳化剤は,中心点をリパーゼ0.001%,乳化剤0.3%,軸上点を先行研究の1から√2及び2に変更した配合,さらに添加量上限を過剰な配合としたモデルを加えた.製パン性の評価として比容積,テクスチャー解析の1日後及び3日後の硬さを測定した.得られた結果をもとに応答局面法を用いて2要因の作用を明らかにし,最適な添加量を推定した.
【結果と考察】 軸上点を√2及び2のモデルで最適化を行った結果,最適添加量は中心点であり各製剤のメーカー推奨値でもあるリパーゼ0.001%,乳化剤0.3%付近であることが示された.これは先行研究の中心点がリパーゼ0.001%,乳化剤0.3%,軸上点1の最適化により求められた結果と類似する値であった.一方で過剰に添加したモデルでは,過剰添加ではケービングにより形が歪に膨らむなどして,比容積の低下や硬さの増加が起こり,最適添加量は大きく異なった.これらの結果から,リパーゼと乳化剤の併用においてはおよそ各推奨量の添加が最適な添加量であることが示唆された.