日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

C 農畜水産物とその加工品 (Agricultural product, Livestock product, Seafood, and their processed products)

[2Hp] 野菜、果実

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 H会場 (3F N303)

座長:大坂 隆志(広島県立総合技術研究所)、菅原 哲也(山形県工業技術センター)、重村 泰毅(東京家政大学)

15:45 〜 16:00

[2Hp-04] ミニトマトのドリップ抑制マイニング

*佐野 佑真1、小出 章二2、折笠 貴寬2、小森 貞男2 (1. 岩手大・院・総合科学、2. 岩手大・農)

キーワード:ミニトマト、冷凍裂果、ドリップ率、ロジスティック回帰分析、主成分分析

【目的】
近年,冷凍青果物の需要が増加している. そのなかでも果実・果菜は水分が多いものが多く, その水分は凍結することにより氷結晶を生成し, その際に体積が9 %膨張する. その結果, 裂果(以後,冷凍裂果と称す)し, 解凍した際には冷凍裂果した箇所からドリップが多く流出するため, 解凍後の品質や食味を著しく低下させることが問題となっていた. そこで本研究では, いくつかの品種のミニトマトを用いて,冷凍・解凍を行い,選果指標および冷凍形態の観点からドリップロスを抑制する因子についてデータマイニング手法を用いて探索を行った.これが分かれば,冷凍・解凍してもドリップが少なく生食に近い青果物を提供できるのではないか,と考えている.
【方法】
ミニトマトを収穫し,これを測定に供試した.サンプルの外観特性(果実重,長径・短径,果皮色)を計測したのちナンバリングし,これらを冷凍試料と生鮮試料に分けた.生鮮試料は,理化学的品質(破断強度,弾性係数,糖度)の測定も行った.冷凍解凍区のサンプルは-20 ℃で72時間冷凍させたのち,5 ℃で24時間解凍した.解凍後は冷凍裂果の有無を目視で確認し,外観特性および理化学的品質の測定を行った.
【結果】
冷凍裂果に関してロジスティック回帰分析,ドリップ率に関して主成分分析を行った.その結果,ドリップ率を抑制できる因子として,糖度など,いくつかの理化学的品質および外観特性を見出すことができた.以上の結果は,選果により,消費者に冷凍・解凍後も高品質のミニトマトを提供できる可能性を示すものである.なお本実験は,現在進行中でありドリップ率の抑制因子を明らかにするには,冷凍速度を含めて多くのデータを収集する必要があると思われ,今後の検討課題である.