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[2Ip-09] 製パン条件の違いが呈味成分プロファイルに及ぼす影響
キーワード:メタボロミクス、パン、GC-MS、呈味成分プロファイル
【目的】製パンは,発酵や焼成など複雑な工程で調製され,またその調製方法も様々であるため,条件の違いが最終製品の品質に大きく影響する.さらに使用する原料の種類等によっても最終製品の品質は変化する.本研究では,メタボロミクス的手法で得られる呈味成分プロファイルを指標に,製造条件の違いがパンの品質に与える影響を検討した.【方法】一般的な食パンをモデルとした.また使用原料や配合割合等も一般的な条件を基本とした.製パン条件として,本研究では原料の違い,製法の違い,発酵時間の違いについて検討した.まず,原料の違いでは,異なる小麦粉,異なる硬度の水,異なるパン酵母で調製した.製法の違いでは,同一原料で異なる4製法(直捏法,中種法,液種法,老麺法)で調製した.発酵時間の違いは,二次発酵を0,30,90分で調製した.調製後のパンは,比容積を測定後,クラム部分を使用し尺度法による官能評価を行った.残りは分析まで-80℃で保存し,それぞれGC-MSを用いた水溶性低分子成分(主に呈味成分)を対象としたメタボロミクス的手法に供した.得られた呈味成分データ一覧は,SIMCA14を使用し,呈味成分プロファイル解析を行った.【結果】まず異なる原料では,特に外国産と国産小麦,酵母の違いで呈味成分プロファイルに差がある傾向が見られた.異なる製法では,中種法とその他3製法の間に顕著な呈味成分プロファイル差が認められた.二次発酵時間の違いは,直捏法・中種法で検討し,両製法で発酵時間の違いにより呈味成分プロファイルが異なり,発酵時間に伴い多くの呈味成分が変化した.特にいくつかの単糖類,ピルビン酸などの有機酸,グリセロールなどが増加し,一方アラニン,リジンなどのアミノ酸類は減少していた.(本研究は,公益財団法人エリザベス・アーノルド富士財団令和3年度及び令和5年度学術研究助成により実施した)