日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Jp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 J会場 (2F N207)

座長:井倉 則之(九州大学)、中村 彰宏(茨城大学)、高重 至成(大阪公立大学)

15:00 〜 15:15

[2Jp-01] 食用コオロギのリアクション・フレーバーとその呈味性についての検討

*小木曽 加奈1,2、冨沢 綾音1、金子 昌二3、山崎 慎也3 (1. 長野県立大学 健康発達学部、2. 長野県立大学大学院 健康栄養科学研究科、3. 長野県工業技術総合センター 食品技術部門)

キーワード:昆虫食、コオロギ、高圧酵素処理

【目的】
 日本では食料自給率の低下やタンパク質危機といわれる食料問題が迫っており,解決方法の一つとして昆虫食の検討が進んでいる.昆虫食のうちコオロギに関する研究として付加価値のある製品としてアップサイクルするために様々な加工の検討が必要である.本研究では,食用コオロギのエキス化及び醤油加工を行い,その呈味性や機能性について評価することで食用コオロギの新たな加工方法を検討することを目的とした.
【方法】
 食用コオロギは市販のフタホシコオロギ粉末を用いた.試料として粉末にドロマイト,柿渋パウダーをそれぞれ添加した試料を作成し,何も加えないものをコントロールとした.さらに醤油麹を添加し,高圧酵素処理によりエキス化を行った.上記の方法で作成した試料を用いて,色彩測定、一般生菌数測定,アレルギー検査,GC-MS分析,官能試験を行った.
【結果及び考察】
 高圧酵素処理や添加するものによって色彩の変化は見られなかった.一般生菌数に関して,初期腐敗が進んでいないことから食品としての安全性が高いことが確認できた.次にアレルギー検査に関して,高圧酵素処理前に陽性反応が出ていたが,高圧酵素処理後に陰性となった.官能試験より,添加物や調味していない試料と比較して,添加物や調味を行った試料に匂いや味に関する項目に有意差がなく,醤油に近しい結果が得られたことから,添加や調味による加工によって呈味性の向上を行えると考えられる. 以上の結果から、エキス化及び醤油加工により,コオロギ特有の匂いの低減化が見られその呈味性と機能性の向上が見られ,付加価値のある製品としてアップサイクルを行う余地があると考えられる.
 なお,本研究はJSPS科研費(24K05578)の助成を受けた.