日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Kp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 K会場 (2F N206)

座長:山田 盛二(サンタ ベーキング ラボラトリー)、西岡 昭博(山形大学)、高村 仁知(奈良女子大学)

15:00 〜 15:15

[2Kp-01] 米粉100%麺に適する澱粉分子鎖構造の検討

*川名 流魁1、矢野 裕子1、香田 智則1、西岡 昭博1 (1. 山形大・院・有機)

キーワード:米粉麺、米粉、アミロース、アミロペクチン、麺

【目的】プラスチックの押出成形では材料の分子鎖構造が異なる場合,成形加工性に違いが現れる.食品加工の分野では,製麺などに押出成形が用いられる.そこで本研究では,米粉生地を押出製麺する際の製麺に適した澱粉分子鎖構造を明らかにすることを目的とする.米澱粉には分岐分子のアミロペクチンと直鎖分子のアミロースが含まれる.また,米澱粉は合成酵素によって見かけのアミロース含量(AAC)や分岐鎖長,分岐数が変化する.そのため,異なる分子鎖構造を持つ米粉を用いて押出製麺を行うことで,押出成形に適した澱粉分子鎖構造を明らかにできると考えた.
【方法】まんぷくすらり(45%,17),あきたさらり(30%,15),はえぬき(18%,15),ヒメノモチ(0%,15)の米粉を用いた.括弧内はAAC及び分岐鎖のグルコース重合度の平均値を示す.各米粉に加水して混練した後に押出製麺した.麺の硬さを評価するために製麺した生麺を茹でて圧縮試験を行った.茹で時間は3 minとした.
【結果】全ての品種で製麺が可能であった.用いた品種の中でも糊化粘度が低いまんぷくすらりは吐出部から麺が押出されにくかった.これは,アミロース含量が多いことで米生地の弾性が上昇しノズルに生地が詰まったことが要因だと考えられる.圧縮試験から,分岐鎖の長い品種ほど茹で後の試験力の最大値が大きくなった.これは,分岐鎖の長い二重螺旋構造が糊化温度を高くさせたためだと考えられる.まんぷくすらり及びあきたさらりはアミロペクチンAAC 30%以上であり,はえぬきよりも長い二重螺旋構造を持つ.以上の結果から,AAC 30%以上で分岐鎖が長い米は米粉100%製麺に適すると考えられる.