日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Kp] 加工、製造技術

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 K会場 (2F N206)

座長:山田 盛二(サンタ ベーキング ラボラトリー)、西岡 昭博(山形大学)、高村 仁知(奈良女子大学)

15:45 〜 16:00

[2Kp-04] 製パンにおける白醤油添加効果の明確化

*間野 博信1、筒井 亜香音2、伊藤 彰敏1 (1. あいち産科技総セ・食工技セ、2. ナカモ(株))

キーワード:パン、醤油、酵素、アミラーゼ

【目的】白醤油は琥珀色で甘みが強く,麹香や甘酒香を有する調味料であり,吸い物や鍋物のつゆなどに利用されてきた.製パン時に添加すると官能的に優れたパンができると言われているが科学的なデータは少ない.そこで,白醤油の消費拡大を目指し,製パンにおける添加効果の明確化に取り組んだ.また,製パン業界では生地の軟化,パンの色付け,膨らみ増大,柔らかさの向上と維持を目的にアミラーゼ製剤を利用することがある.白醤油はα-アミラーゼをはじめとする麹菌由来酵素の活性が残存している.そこで,白醤油の残存酵素活性が製パンに及ぼす影響を評価した.
【方法】加熱して酵素を失活させた白醤油,非加熱の白醤油,市販の製パン用アミラーゼ製剤をそれぞれ添加してロールパンを作製した.白醤油は無添加区(コントロール)と生地中の食塩濃度が同等となるように最大量を添加した.また,白醤油を添加した分,水の量を減らし,含有する直接還元糖の分,上白糖を減らした.クリープメータを用いて,生地の軟化効果と柔らかさの向上・維持効果を評価した.L*a*b*表色系を用いて焼き色付与効果を,なたね法を用いて比容積を測定し,膨らみ増大効果を評価した.また,官能評価を行い,パンの風香味や食感への影響を評価した.
【結果】非加熱白醤油を添加すると,アミラーゼ製剤と同等の生地の軟化効果が得られた.また,加熱白醤油や非加熱白醤油の添加により,アミラーゼ製剤以上の焼き色付与効果が得られ,アミラーゼ製剤と同等の膨らみ増大効果や柔らかさの向上・維持効果が得られた.しかし,加熱白醤油を添加した場合,口当たりは柔らかいものの,他の区分より噛み切るのに力を要することが示唆された.風香味についてはチーズ様の香りや香ばしい香りが付与され,旨みやチーズ様の風味,味の濃さが強くなることが示唆された.こうした特徴は加熱白醤油より非加熱白醤油を添加した方が強い傾向があった.