日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[2Lp] 食品物性

2024年8月30日(金) 15:00 〜 18:00 L会場 (2F N205)

座長:松川 真吾(東京海洋大学)、太田 尚子(日本大学)、金田 勇(酪農学園大学)

15:45 〜 16:00

[2Lp-04] 原料乳の初期構造とチーズのナノ構造との関係

*大沼 正人1、 上村 雄基1、福田 遥暉1、野々村 玲男1、那須田 祐子1、岡部 尚輝1、阿部 勇魚1、金田 勇2、栃原 孝志2、川端 庸平2 (1. 北海道大学大学院工学研究院 量子理工学部門、2. 酪農学園大学)

キーワード:X線小角散乱、食感とナノ構造の関係

【目的】乳のナノ構造については各種手法により検討が進んでいるものの、それを原料とする乳製品については未だ不明な点が多い。一方で、乳を構成する乳脂肪、カゼインミセル、コロイド状リン酸カルシウム(CCP)の分散状態はチーズの食感に直接影響すると考えられる。そこでX線小角散乱により異なる処理を施した原料乳や乳種の異なる原料乳を使って製造したチーズのナノ構造をX線小角散乱を中心とした各種の手法を駆使して検討した。
【方法】通常の手法で酪農学園大において製造したゴーダーチーズとその原料乳にホモジナイズを加え、それ以外のプロセスは前者と同じ方法で製造したチーズ、およびホルスタイン乳とジャージー乳とで製造したトーマチーズ(白糠酪恵舎製造)とについて、X線小角散乱、X線CT、顕微ラマンなどで構造情報を取得した。レオロジーをはじめとした各種物性測定も並行して行った。
【結果】ゴーダータイプのチーズおよびトーマタイプのチーズとも製造したチーズのナノ構造、特に、ミセルの凝集状態とCCPの凝集状態に明瞭な差が見られ、物性にも明らかな違いが観測された。この構造差は脂肪の分散状態の差により誘発されると考えられる。これらの結果について報告する。