日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Ba] 生理活性物質

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 B(S3)会場 (3F N322)

座長:高橋 正和(福井県立大学)、牧野 義雄(香川短期大学)、山本 晃司(あいち産業科学技術総合センター)

09:15 〜 09:30

[3Ba-02] 包装・加熱処理と冷凍保存温度がブロッコリーの栄養成分含有量の消長に及ぼす影響

*牧野 義雄1、竹内 実咲1、鎌田 梨暖1、秋廣 高志2 (1. 香川短期大学、2. 島根大学)

キーワード:スルフォラファン、ビタミンC、長期保存、アブラナ科、Brassica oleracea var. italica

【目的】
アブラナ科野菜の一種「ブロッコリー」に豊富に含まれ,胃癌の抑制に有効であることが報告されている機能性成分「スルフォラファン(SF)」を長期にわたり高濃度で保持する冷凍方法を開発した.また,ブロッコリーには豊富なビタミンC (VC)が含まれていることから,併せて消長を調べた.
【方法】既にSF増強に有効であると報告されている,気体遮断袋による密封包装と60℃・13 min加熱を併用した前処理の有無と,冷凍温度(-15,-80℃の2水準)の影響に保存期間の影響も加えた3元配置の分散分析により,各要因がSFおよびVC濃度の変動に及ぼす影響の統計的優位性を評価した.なお,保存期間は0~179 dとした.
【結果】SF濃度は前処理により有意に増強され,-15℃に比べて-80℃での保存の方が,有意に高濃度で保持された.VCは保存の初期段階で減少する傾向がみられ,温度水準との関連性は認められなかった.このことから,VCは保持が困難な成分であることが確認できた.以上の結果から,本研究で検討した前処理によるSFの増強と,-80℃での超低温冷凍保存は,ブロッコリー中SFの長期にわたる高水準での保持に有効であり,高品質冷凍野菜の供給に有効な手段であることが明らかになった.