日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

A 食品成分,食品分析(Food Ingredients, Food Analysis)

[3Ba] 生理活性物質

2024年8月31日(土) 09:00 〜 11:30 B(S3)会場 (3F N322)

座長:高橋 正和(福井県立大学)、牧野 義雄(香川短期大学)、山本 晃司(あいち産業科学技術総合センター)

10:45 〜 11:00

[3Ba-07] 麹菌発酵米糠中に含有されるセラミド類の化学構造と生理活性

*下田 博司1、米田 朱里1、竹田 翔伍1、石川 寿樹2、萬瀬 貴昭3、森川 敏生3,4 (1. オリザ油化(株)、2. 埼玉大・院・理工、3. 近畿大・薬総研、4. 近畿大・アンチエイジングセ)

キーワード:米糠、麹菌、セラミド

【目的】 米糠を麹菌発酵させることによりceramides (Cer) が増加するが,各分子種の化学構造や生理活性についてはあまり知られていない.そこで,発酵物中に含まれるCer類の構造を明らかにするとともに,そのin vitroにおける生理活性を調べた.【方法】米糠に米麴および香煎を添加して固体培養後,LC-MS/MSでCerプロファイルを解析した.また逆相HPLCにより,各種glucosylceramides(GlcCer)およびCerを単離し,その化学構造を同定した.生理活性の評価は表皮三次元培養系での水分蒸散量(TEWL),B16メラノーマのメラニン生成および樹状細胞のIL-6産生を指標に実施した.【結果】発酵によりCerは8倍,GlcCerは2倍に増加していた.Cerの大部分はCer[t18:0]タイプであったが,Cer[d19:2]タイプも検出された.GlcCerではGlcCer[d19:2]タイプが5倍に増加していた.さらにCer[d19:2]にリン酸基,inositol,mannoseが結合したmannoinositol phosphorylceramides (MIPC)も検出された.単離物質ではCer[t18:0/22:0]~Cer[t18:0/26:0], GlcCer[d19:2(4E,8E)/18:1], GlcCer[d19:2(4E,8E)/18:0] を同定した.これら分子種で,Cer[t18:0/23:0], Cer[t18:0/24:0] およびGlcCer[d19:2(4E,8E)/18:1]にTEWLの低下が,Cer[t18:0/24:0]にメラニン生成抑制が,さらにCer[t18:0/24:0]およびCer[t18:0/25:0]に樹状細胞の活性化が認められた.この結果より,麹菌発酵米糠には生理活性の異なるCer類が混在していることが明らかになった.