日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

B 食品機能 (Food Function)

[3Ep] 整腸作用、脂質調節、コレステロール調節

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 E会場 (3F N307)

座長:志水 元亨(名城大学)、本多 裕之(名古屋大学)、畑中 美咲(アサヒグループ食品)

15:00 〜 15:15

[3Ep-04] 高ショ糖-低食物繊維食マウスの血中アンモニア濃度に及ぼすごぼう茶の影響

*佐藤 瑞希1、久田 孝1、山本 茉紘1、中村 綾花1、高橋 肇1、井上 淳詞2、高柳 周2 (1. 東京海洋大学、2. (株)あじかん)

キーワード:ごぼう茶、アンモニア、腸内菌叢、短鎖脂肪酸

【目的】イヌリンやクロロゲン酸を豊富に含む焙煎ごぼう茶は,日本をはじめ広く茶飲料として定着しつつある.本研究では,腸内菌叢と腸内腐敗産物,血中アンモニア濃度に及ぼすごぼう茶の影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】5% (w/v) 焙煎ごぼうからの熱水抽出液をBTとした.蒸留水あるいはBTで調製した1/4GAM培地にヒト糞便スラリーを接種し,24h嫌気培養後,pHおよび腐敗産物(アンモニア,インドール,フェノール)を測定した.高ショ糖-低食物繊維食ICRマウスに飲料水としてBTを 14 日間投与後,盲腸内有機酸とアンモニア濃度,血中アンモニア濃度を測定し,糞便細菌叢を16S rDNA(V4)アンプリコンシーケンス法で解析した.
【結果】BT培地を用いたヒト糞便培養液でpH が 6.5 から 4.6 に顕著に低下し,アンモニアとインドールの生成が顕著に抑制された.BTを接種したマウスの盲腸内の酢酸レベルは 34 μmol/g から 49 μmol/gに,n-酪酸レベルは 5.1 μmol/g から 14 μmol/g に増加し,pHは7.0 ±から6.6に低下した.盲腸内アンモニアレベルに有意な変化はなかったものの,BT 処置マウスの血漿アンモニアレベルは 0.74 μmol/mL から 0.50 μmol/mL に減少した.さらに,糞便の細菌叢解析の結果ではBT が短鎖脂肪酸を産生する腸内常在菌であるMuribaculaceaeClostridia UCG-014 を増加させることが示された.これらの結果から,BT が腸内発酵されることにより,短鎖脂肪酸が上昇し,pHが低下することで,腸内でのアンモニア生成と腸管壁からのアンモニア吸収が阻害されることが示唆された.