[3Ga] 抗腫瘍、抗炎症、抗アレルギー

[3Ga-07] ウラジロガシ葉抽出物のケミカルメディエーター放出抑制活性

*高杉 美佳子¹、坂口 亮太¹、新井 博文² (1. 九産大院・工、2. 北見工大)

キーワード：アレルギー、ウラジロガシ、マスト細胞、ケミカルメディエーター

【目的】日本人の約2人に1人は何らかのアレルギー疾患があるといわれており，機能性成分を含む食品の摂取による症状緩和が注目されている．ウラジロガシ (Quercus salicina) はブナ科コナラ属の常緑広葉樹で，乾燥葉は健康茶として飲用されているが，尿路結石改善作用以外の生理機能はほとんど明らかにされていない．本研究では市販のウラジロガシ葉より抽出物を調製し，マスト細胞からのケミカルメディエーター (CM) 放出抑制活性により抗アレルギー作用を評価し，緑茶抽出物と比較した．
【方法】乾燥ウラジロガシ葉および緑茶から熱水およびエタノール (EtOH) 抽出物を調製し，ポリフェノールおよびタンニン量を定量した．CM放出抑制活性は，マスト細胞株からのヒスタミン (His) およびロイコトリエン (LT) 放出抑制活性で評価した．さらに，マスト細胞内Ca²⁺濃度上昇およびシグナル分子 (Syk) のリン酸化に及ぼす影響を調べた．
【結果】ポリフェノールおよびタンニンは，熱水よりもEtOH抽出物に多く含まれており，ウラジロガシ葉EtOH抽出物はタンニンを特に多く含んでいた．His放出抑制活性は，ウラジロガシ葉抽出物が緑茶抽出物よりも強い抑制活性を示す傾向が認められた．LT産生抑制活性は，緑茶EtOH抽出物が最も高く，ウラジロガシ葉抽出物は緑茶熱水抽出物より少し弱い程度であった．また，ウラジロガシ葉EtOH抽出物はマスト細胞内Ca²⁺濃度上昇およびSykのリン酸化を抑制していた．これらのことから，ウラジロガシ葉に含まれるタンニンなどの成分は，マスト細胞内のSykのリン酸化と細胞内Ca²⁺濃度の上昇を抑制することでCM放出を抑制していることが明らかとなり，その効果は抗アレルギー効果が既に報告されている緑茶と同程度であると推察された．