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[3Ga-08] 食肉様大豆加工食品(大豆ミート)の経皮感作能評価
キーワード:アレルギー、経皮感作、大豆、大豆ミート
「目的」近い将来の食料タンパク質不足(プロテイン・クライシス)が懸念されているが,先進国を中心に,タンパク質源は主に食肉に依存している.その解決策として大豆ミート等の代替肉が注目を集めている.一方,近年,食物アレルギーの要因の一つとして経皮感作が注目されているが,大豆ミートのアレルゲン性や経皮感作能に関する研究は行われていない.そこで本研究では,市販の大豆ミートおよび,原材料である大豆の各抽出液をマウス皮膚に塗布し,大豆ミートの経皮感作能を評価した.「方法」6週齢雌Balb/cマウスを馴化後,コントロール群(SDSのみ塗布),大豆塗布群,大豆ミート塗布群の3群に分けた.経口免疫寛容を避けるため,飼料には大豆不含食を投与,塗布開始6週目で解剖した.サンプル塗布は週4回,採血は週1回実施した.血清の抗体価はELISAにて測定,Western Blottingで抗体結合タンパク質(経皮感作抗原)を検出した.「結果」大豆特異的IgG1及びIgE値は,大豆ミート塗布群が大豆塗布群に対して有意に低く,コントロール群と同程度を示した.また,大豆ミート特異的IgG1値を測定したところ,大豆ミート群が大豆群に対して有意な高値を示し,大豆ミートの塗布によって大豆ミート特異的抗体の産生が促されると示唆された.さらに,WBで大豆,大豆ミートに含まれる抗体結合タンパク質を検出した結果,大豆では大豆塗布群の個体で共通の明瞭なバンドが確認され,大豆ミート塗布群でも一部の個体でバンドが検出された.また,大豆ミートにおいては,大豆塗布群では共通のバンドが検出された一方で,大豆ミート塗布群では大豆ミート全体とのスメアな反応が確認された.これらの結果から,大豆ミートで経皮感作された場合,大豆の摂取によるアレルギー反応は起こりにくいものの,大豆ミートそのものを摂取した場合のみ反応する可能性が示唆された.