[3Ga] 抗腫瘍、抗炎症、抗アレルギー

[3Ga-09] 柿タンニンの共塗布によって卵白アレルゲンOVAの経皮感作が抑制される

*米澤 美乃里¹、久保 菜々子²、棚橋 菜々¹、岡野 美波¹、竹森 久美子^1,2、米谷 俊³、財満 信宏^1,2,4、森山 達哉^1,2,4 (1. 近大・院・農、2. 近大・農、3. （株）ファーマフーズ、4. 近大アグリ技研)

キーワード：タンニン、柿タンニン、経皮感作、抑制、食物アレルギー

【目的】タンニンはある種のポリフェノールの総称であり,多くの果実にも含まれる.柿由来のタンニンには抗菌・抗酸化作用などの多彩な機能性が示唆されている. 本研究では,柿タンニンの経皮感作抑制効果について,卵白アレルゲンであるOVAとの共塗布によって検討した.【方法】柿タンニンは未処理のものと,低分子化のために240℃,5分間の亜臨界水抽出処理を行ったものの2種類を用いた.BALB/cマウスを「OVA群」,「OVA+未処理柿タンニン群」,「OVA＋亜臨界水抽出処理（以下,処理）柿タンニン群」に分け,それぞれサンプル塗布を行った.塗布は,マウス背部に週4回5週間行った.週1回剃毛を行い,採血は2週目以降,各週行った.その他,ELISAにてOVA特異的抗体価の測定,イムノブロッティング（IB）によって抗体結合タンパク質の検出,血清及び皮膚中のTARC（Th2免疫細胞の遊走に関与）,TSLP（皮膚での炎症に関与）レベルの測定等を行った.【結果】OVA群と比較し,OVA＋未処理柿タンニン群のOVA特異的IgG1,IgE,IgG2aレベルは,いずれも有意に低値を示した.OVA＋処理柿タンニン群でもOVA特異的IgG1,IgG2aレベルで有意に低値を示した.IBの結果は,ELISAの結果とほぼ一致した.血清中及び皮膚中のTARC,TSLPは群間で有意差は見られなかった.これらの結果より,柿タンニンは経皮感作を強く抑制することが示唆された.特に未処理の柿タンニンの方が経皮感作抑制効果が高いことが示唆された.TSLPやTARCなどのサイトカインレベルには抑制作用は示さず,Th2型抗体のIgG1やIgEの他にも,Th1型抗体のIgG2aの産生にも柿タンニン群は低値を示したことから,柿タンニンは抗原と相互作用し,抗原の認識や取り込み,抗体の産生等を抑制する可能性が示唆された.