日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Ip] 加工、製造技術

2024年8月31日(土) 14:15 〜 17:00 I会場 (3F N302)

座長:田村 匡嗣(宇都宮大学)、安藤 泰雅(農業・食品産業技術総合研究機構)、守田 和弘(実践女子大学)

16:00 〜 16:15

[3Ip-08] 炊飯前磨砕処理による米の素材開発

*守田 和弘1、中川 裕子1、川崎 瑠花1 (1. 実践女子大学)

キーワード:米、玄米、炊飯、磨砕、ゲル

【目的】
 近年低迷する米の消費拡大を目的に,米の新たな素材開発について検討した.これまで,米の加工素材として,米粉に加え,米ピューレや米ゲルが新たな加工素材として利用されており,小麦粉との代替等に関する研究が進められている.本研究では,従来までの米素材とは異なる新たな素材の開発を目的に,炊飯前の磨砕処理が炊飯後の米のテクスチャーに及ぼす影響を明らかにするとともに,得られた素材の食品への応用について検討を行った.
【方法】
 米は「コシヒカリ」を供試した.白米または玄米を十分な吸水が得られるまで浸漬し,磨砕後,炊飯を行うことで新たな米素材を得た1).浸漬時の加水量は1.0,1.5,2.0倍とした.磨砕後の米磨砕液の粒度分布を測定するとともに,炊飯して得られた米素材のテクスチャー特性(かたさ,凝集性,付着性,付着力,付着距離)を評価した.また,1.0倍加水で調製した白米の米素材を用いて団子を製造し,米粉で製造した団子を対照として22名のパネリストにより官能評価を実施した.
【結果】
 浸漬した米の磨砕液は,白米,玄米ともに,1倍加水ではペースト状,2倍加水では液状に近い状態となった.磨砕液の平均粒子径は,加水量が少ないほど小さかった.磨砕液を炊飯したところ,白米,玄米ともにゲル状の素材が得られ,加水量が多いほどペーストに近い状態となった.米素材のテクスチャー特性は,白米,玄米ともに加水量が多いほどやわらかく,付着力が低下する傾向にあった.1.0倍加水で調製した白米の米素材で団子を製造し,米粉で製造した通常の団子を対照として官能評価を実施したところ,米素材を使用した団子は米粉を使用した団子に比べて食感が良く,食べやすいと評価された。

1) 守田 (2022). 特願2022–196061.