日本食品科学工学会第71回大会

講演情報

一般講演

D 食品工学、加工、保蔵、バイオテクノロジー (Food Engineering, Process, Storage, and Biotechnology)

[3Mp] 鮮度保持、資源循環、その他の食品工学

2024年8月31日(土) 14:30 〜 17:00 M会場 (2F N203)

座長:勝野 那嘉子(岐阜大学)、進藤 穣(鹿児島大学)、濱本 博三(名城大学)

16:15 〜 16:30

[3Mp-07] レシピ共有サイトデータにもとづく香気化合物特徴の統計的分析

*上原 宏1,3、持橋 大地2,3 (1. 立正大学、2. 統計数理研究所、3. 総合研究大学院大学)

キーワード:香りの特徴量、レシピサイト、フィッシャー線形判別、統計的推定、香気化合物

【目的】 レシピ共有サイトでは,小数のレシピに高評価が集中する傾向が見られる.これは、美味しさに関する合意ルールの存在を示唆する.香りが高評価の重要な要因とすれば,高評価とそうでない評価のレシピの違いを,含まれる香気化合物の組合わせから説明づけられると考えられる.本研究では,レシピ共有サイトで高評価を獲得しているレシピとそうでないレシピについて材料に含まれる香気化合物の組み合わせパターンにどのような違いがあるかを統計的方法により分析を行う.
【方法】
(1) レシピからのOAV(Odor Activity Value)特徴の推定 :
レシピ共有サイトの個々の材料に含まれる香気化合物のOAVにもとづきレシピの香りを表す特徴ベクトル"対数重み付きOAV"を統計的に推定する方法を提案した.
(2)データの収集 :
レシピ共有サイトのレシピ約19,000件を対象とし,香気化合物データベースの材料別香気化合物濃度および,香りの閾値データを参照して上記,対数重み付きOAVベクトルを推定した.推定にあたり,"適宜"など,材料に含まれる曖昧な表記について統計的手法 を用いて分量の推定を行った.
(3) 高評価レシピの判別精度の評価 :
対数重み付きOAVベクトルが,高評価レシピとそうでないレシピの判別に有効かをロジスティック回帰 を用いて比較評価した.
(4) 判別に寄与した香気化合物の組み合わせパターンの分析 :
上記の判別に寄与した香気化合物の特徴パターンを意味解釈するため,"再帰型フィッシャー線形判別分析"を用いて,高評価レシピとそうでないレシピとの香気化合物パターンの違いを低次元空間上で分析した.
【結果】
対数重み付きOAVベクトルは,他の特徴ベクトルと比較して,高評価レシピに対する高い判別精度を示した.また判別に寄与した主要な香気化合物は,香り特徴が類似するなど一定のパターンが検出された.