第46回日本集中治療医学会学術集会

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看護交流集会

[NS3] 看護交流集会3
(看護将来計画委員会企画) 次世代の集中治療看護師のキャリア形成を考える

Sat. Mar 2, 2019 3:05 PM - 4:05 PM 第19会場 (グランドプリンスホテル京都B2F プリンスホール2)

座長:稲垣 範子(摂南大学看護学部), 茂呂 悦子(学校法人自治医科大学 自治医科大学附属病院看護部)

[NS3-2] 急性・重症患者看護専門看護師である教育者の立場から

稲垣 範子 (摂南大学 看護学部)

ライブ配信】

大学時代、教員から「外科系には就職するな」と言われるほど、おっとりした学生であった。しかし、この先ずっと外科系の重症な患者をみることなく看護師を続けてよいのかと思い、大学最後の実習では、ICUに入るような患者さんを受け持ちたいと希望した。食道がんの手術を受ける80代の患者さんを受け持たせていただき、術後、ICUに入室中の患者さんの部屋に入った。とにかく衝撃であった。患者さんは何も言ってくれない。何を見ればよいのか、何を考えればよいのか全くわからなくなった。教員からもひどく叱られ、もう看護師にはなれないだろうとかなり落ち込んだ。患者さんは、元気に一般病棟に移られたが、私の実習中の失敗は続いた。「このままではいけない」と思い、就職時の面接ではICUを希望し、新人からICUで働けることになった。私は20世紀末に就職したが、その頃の人工呼吸器にはグラフィックモニターもなく、補助人工心臓は体外型が中心で、非常に大きな機械であった。ICUで5年ほど勤務した頃、発展した医療機器や治療に合わせて看護手順の変更に取り組んだが、これを繰り返しても、それは看護としての発展ではないと感じるようになった。では、看護の発展とはどういうことかと思ったことが急性・重症患者看護専門看護師(CCNS)を志したきっかけである。
大学院に進学し、視野は確実に広がり、職場外の仲間も増えた。このつながりは、キャリア形成に欠かせないものだと感じている。病院内でも、多くの職種・立場の方と話し合うことが多くなった。うまくいかないことも多くあったが、CCNSとしての意見を持ち、状況の見方を表明することの大切さを学んだ。ただ、ベッドサイドで集中して長時間、重症患者のケアを行う能力の衰えを感じ、働き方を考えないといけないと思うようになった。そんな矢先、ワークライフバランスの問題に直面した。父親が進行がんであることがわかり、余命3か月と告げられた。治療の選択、療養場所の選択など、考えなければならないことが一気に押し寄せた。CCNSとして予定していた仕事も、代わってくれる人を探したり、委員会から外れたりと調整するなかで、正直、つらい思いもした。病院でCCNSとして働いていた頃は、ワーク98%くらいの感覚で仕事をしていた。それも問題だったのかもしれない。
ワーク<ライフに直面したとき、働き方を再検討し、ベッドサイドで働くことを楽しめる次世代の看護師を育てたいと思い、大学教員の誘いを受けた。大学教員となり、想定を超えてくる学生に驚いたり、学生の考えに感動したりする毎日を送っている。私がCCNSになったのは、看護の発展とは、と思ったことがきっかけであり、そのための1つの手段であった。クリティカルケア看護の発展に何かしら貢献できるのであれば、働き方に固執する必要はないと考えている。プランBでやってみようと思えることがキャリアに関する問題の一つの乗り越え方ではないだろうか。