第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O105] 一般演題・口演105
循環 研究06

Sat. Mar 2, 2019 2:40 PM - 3:40 PM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:西山 友貴(鎌倉病院)

[O105-3] 急性大動脈解離の発症初期における肺酸素化障害の検討

向山 智子1, 林田 恭子2, 増田 慎介2 (1.国家公務員共済組合連合会 舞鶴共済病院 集中治療室, 2.国家公務員共済組合連合会 舞鶴共済病院 心臓血管外科)


【目的】急性大動脈解離において、急性期に肺酸素化障害を呈し、呼吸補助を必要とすることもある。しかし、その病態についての背景因子や臨床的特徴について報告は少ない。今回我々は、保存的治療を施行した急性大動脈解離について、酸素化障害と病型、治療、肺合併症、検査値など臨床的特徴を検討した。
【方法】2014年4月~2018年4月の間でA病院にて急性大動脈解離保存的治療を施行した50名の内、血液ガス分析を施行していた37名を対象にP/F < 200を肺酸素化障害群(以下、障害群)、P/F > 200を肺酸素化維持群(以下、非障害群)に分け、年齢、性別、BMI,ICU滞在日数、喫煙指数、水分出納、血液検査データ(WRC,CRP,D-ダイマー)の最大値発生病日及び最大値、降圧剤静注薬(ニカルジピン、ニトログリセリン、ジルチアゼム)の使用日数・投与量・最大流量、利尿剤使用の有無を後方的に調査した。統計はMann-Whitney検定にてp< 0.05を有意差ありとした。
【結果】肺酸素化障害群患者18名(年齢68.67±11.52歳、男女比12:6)、肺酸素化維持群患者19名(年齢64.63±13.71歳、男女比14:5)。障害群と非障害群の比較では、ICU滞在日数(7.78±1.90日vs 6.00±2.05日、p=0.013)、WBC最大値病日(2.83±1.83病日vs 1.58±1.09病日、p=0.005)、CRP最大値(11.96±6.42mg/dl vs 8.50±4.80mg/dl、p=0.039)、両側胸水出現率(88% vs 67%、p=0.049)、肺炎出現率(33% vs 0%、p=0.007)で有意差を認めた。中でも、肺炎は全体の16%に出現しており、その全てが障害群で発生していた。発生部位は片側・両側で肺酸素化障害発生率に有意差は認めなかった。無気肺出現率(50% vs 58%、p=0.634)、片側胸水出現率(12% vs 33%、p=0.244)で有意差は認めなかった。
使用薬剤については、急性期に血管拡張薬の静香注薬多剤投与(ニカルジピン・ニトログリセリン・ジルチアゼム)を必要とした場合、有意に肺酸素化障害発生率が高かった。(p=0.044)。ラシックスの使用頻度は障害群の方が有意に高かった(44% vs 5%、p=0.001)。
【結論】肺酸素化障害の出現において無気肺に比べ、両側胸水を招く体液貯留や肺炎の併発が大きく関与していることが示唆された。また急性大動脈解離の発症初期にて血圧コントロール不良な場合、肺酸素化障害を引き起こす可能性が考えられる。