[O122-6] ICUにおける国際生活機能分類(International classification of functioning)の臨床応用に関する検討
【背景】医療の高度化に伴い、短期予後の改善がある一方、生命の危機を脱した後のADL、QOL低下による社会復帰困難となることが問題となっている。集中治療領域においては、生活機能を含めた評価が十分でない。近年、リハビリテーション領域では、日常生活の基本動作や機能の評価を、国際生活機能分類(International classification of Functioning, Disability and Health:以下、ICF)を用いるようになった。集中治療領域においても、個々の患者のQOL改善には身体機能に加えて早期からの生活機能の評価を基にしたケアが必要である。【目的】本研究は、集中治療領域におけるICFを用いた文献レビューを行い、ICFによる生活機能評価が集中治療領域においても臨床応用できるかを検討することを目的とする。【方法】ICUにおけるICFを用いた生活機能評価に関する文献について、Pubmed、CINAHL、医学中央雑誌Web版を用いて文献検索を行った。検索対象とした年代は限定せず、KeywordsにInternational Classification Functioning, Disability and Health、 Intensive care、Intensive care unit、ICF(国際生活機能分類)、集中治療、急性期、急性期看護、クリティカルケアを用いて検索し、系統的レビューを行った。なお、The Cochrane Library において、同一内容の先行研究がないことを確認した。【結果】対象文献は18文献であった。文献検討の結果、ICFによる評価を行っている研究は、整形外科領域、小児科領域、神経系領域などの特定の機能評価を要する領域の報告が多く、集中治療に関連した報告は、脳卒中、ARDSなどの特定の疾患を対象にした研究のみであった。ICFは、国際的な標準指標として作成されたものであるが、その活用領域は限定されており、集中治療領域の患者への応用は報告されていなかった。一部の特定疾患における報告では、早期からの生活機能評価を外来フォローにつなげることで、集中治療後症候群の改善に効果があることが示された。また、わが国においてICFを集中治療領域で活用している研究は報告されていなかった。【結論】集中治療領域においてICFによる生活機能に着目した評価を行うことは、患者への継続ケアにつながり、QOLを高める可能性が示唆された。本研究結果から、ICFを集中治療において臨床応用するには、多数の機能分類項目から重症患者の特性に合わせた評価項目の抽出や評価尺度の開発が必要であり、現在検討中である。