[O127-4] ICU 患者に対する音楽介入時間とせん妄スコアに関する検討
【背景・目的】音楽療法は、主観的不安の軽減やせん妄予防して日常臨床実践で取り入れている。しかし本邦におけるクリティカル領域での音楽療法の時間的効果の検討は十分ではない。本調査では、ICU 患者に対する音楽療法の効果をせん妄症状に対する影響を検証することを目的とした。【方法】本研究は東海大学医学部付属八王子病院 ICU・CCU の患者 26 名を対象とした。ICU入室初日に音楽療法を30分以上継続した長期音楽療法(LM)(n=9)と、音楽療法を30分未満の短期音楽療法(SM)群(n = 17)とした。東海大学医学部付属八王子病院のICU・CCU入院患者を対象に研究を実施した。音楽療法として、1回あたり20分から2時間の音楽介入を行った。使用楽曲は、患者の自由選択とし、患者はタブレット端末上で再生される楽曲をイヤホンにより聴取した。ICU入室初日に音楽療法を30分以上継続した長期音楽療法(SM)(n=9)と、音楽療法を30分未満の短期音楽療法(SM)群(n = 17)とした。せん妄の症状評価尺度としてICDSC(Intensive Care Delirium Screening Checklist)を使用した。音楽介入群における音楽療法実施前後のICDSCスコア変化を比較した。前後比較の検討はpaired T testを行い、P<0.05を統計学的有意差とした。なお、本研究は東海大学医学部臨床研究審査委員会の承認を得た上で実施した。【結果】LM群の平均年齢は58歳、男性6名(67%)、ICU初日の音楽介入時間は平均70分であった。SM群の平均年齢は66歳、男性8名(47%)で、ICU初日の音楽介入時間は平均29分であった。LM群において、音楽介入によりICSDCスコアは1.75から1.11と減少傾向であった(p=0.051)。SM群において、音楽介入によりICSDCスコアは1.38から1.31となり、変化に差はなかった。【結論】 長期間の音楽療法は、短期間の音楽療法と比較して、せん妄スコアを低下させる傾向である。今後データ数を増やしさらなる検討を行う必要がある。