第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

血液浄化 研究

[O134] 一般演題・口演134
血液浄化 研究03

2019年3月2日(土) 17:10 〜 17:50 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:柏原 謙(京都桂病院 臨床工学科)

[O134-1] 血液浄化用装置55Xの異なる専用回路における回路寿命の比較検討

中嶋 藍1, 塚本 功1, 土屋 陽平1, 松田 真太郎1, 坂下 浩太1, 濱田 雅美1, 小野塚 豊1, 山本 仁志1, 渡辺 裕輔2 (1.埼玉医科大学 国際医療センター MEサービス部, 2.埼玉医科大学 国際医療センター 血液浄化部)

【目的】持続的腎機能代替療法(CRRT)においてhemofilterを含む回路内凝固は、血液が回路やhemofilterおよびチャンバ内の空気などの異物と接触することで亢進する。さらに、回路内での血液滞留やhemofilterを含む異物との接触時間延長も凝固の促進要因となり得る。専用装置の違いによる異なる回路形状が回路寿命に影響を与えることは検証されているが、同一装置における回路の構造因子が回路寿命へ与える影響は定かではない。そこで今回、血液浄化用装置55X(東レ・メディカル社製)の動脈チャンバ容量が異なる専用回路を用い、回路寿命を比較検討した。【対象および方法】対象は2017年1月から6月で、心臓血管手術後に血液浄化用装置55X、hemofilterにUT-1100S(ニプロ社製)を用いてCRRTを施行した18症例(24session)とした。55Xの専用回路(日本ライフライン社製)は、JCH-SMC(動脈チャンバ容量11mL,SMC群:13session)とJCH-10B-M(動脈チャンバ容量13mL,10B群:11session)の2種類を用いて比較検討した。評価項目は、それぞれの回路において血流量(Qb)を80mL/minと120mL/minに変化させた際の回路寿命(使用可能時間、回路交換理由、凝固スコア)、アクセス異常回数、24時間達成率を比較した。【結果】使用可能時間においてQb80mL/minの際にSMC群と10B群で差を認めず120mL/minの際も同様であった。回路交換理由においてQb80mL/minの際にSMC群に比べ、10B群で静脈圧異常が有意に高値であり、Qb120mL/minではSMC群と10B群で差を認めなかった。凝固スコアはQb80mL/min、Qb120mL/minどちらにおいても差を認めなかった。24時間達成率はQb80mL/minの際にSMC群:85.7%に対して10B群:50%であり、Qb120mL/minの際にはSMC群:80%、10B群:100%であった。【結語】血液浄化用装置55Xにおいて、動脈チャンバ容量の2mL程度の違いは回路寿命に影響しなかったが、Qb80mL/minの際に10B群が回路交換理由で静脈圧異常が有意に高値であった。