第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

体温 症例

[O136] 一般演題・口演136
体温 症例

2019年3月3日(日) 09:45 〜 10:35 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:三宅 康史(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター)

[O136-3] 当院ICUに入室した重症熱中症の3例

稲垣 麻優, 永井 梓, 藤村 高史, 平田 陽祐, 辺 奈理, 三宅 健太郎, 竹内 直子, 水落 雄一朗, 有馬 一 (愛知厚生連海南病院 麻酔科・集中治療センター)

【背景】猛暑が続いた2018年夏、当院救命救急センターには例年以上に多くの熱中症患者が受診した。7月から8月までの2ヶ月間に当院受診し、熱中症と診断された症例は68例であり、重症度分類ではそれぞれ1度57例、2度3例、3度8例であった。帰宅した症例57例、入院10例、搬送直後に死亡確認した症例が1例であった。入院症例のうち最重症の3例がICUに入室した。【臨床経過】症例1 71歳男性。午後3時頃に自宅で倒れているところを発見され救急搬送された。来院時、昏睡、ショック状態、腋窩温42℃以上であった。来院直後にCPAとなりROSC後にICU入室した。不整脈と高度の心機能障害を認め、急速冷却に加え高容量の昇圧剤を使用するも全身状態の改善乏しく、来院8時間後に死亡した。症例2 43歳男性。午後7時頃、工場で勤務中に痙攣し救急搬送された。来院時、昏睡、ショック状態、直腸温 42.2 ℃であった。ICU入室後に気管挿管し冷却継続、4時間後には38℃台まで低下した。第2病日には意識の改善を認めたため抜管し、第4病日ICU退室した。その後も後遺症状は認めず第10病日に自宅退院した。症例3 60歳女性。午後3時頃に自宅で痙攣している所を発見され救急搬送された。来院時、昏睡、ショック状態、直腸温42.5℃であった。ERで気管挿管しICU入室した。全身状態安定し意識も徐々に改善し、第4病日に抜管できたが、同日の頭部MRI検査では両側小脳半球と大脳基底核に異常所見を認めた。そのため脳梗塞と判断して治療開始し、第5病日にICU退室した。後日の頭部MRIで異常所見は消失していた。中枢神経障害は残存したが、第25病日に療養型病院へ転院した。【結論】3例とも来院時昏睡、ショック状態であり、多臓器障害を呈した最重症の熱中症であった。熱中症の治療は、体温管理と各種臓器障害に対する集中治療が主体となる。当院での治療経験について文献的考察を加えて報告する。