第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

終末期

[O141] 一般演題・口演141
終末期01

2019年3月3日(日) 08:45 〜 09:45 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:稲垣 範子(摂南大学看護学部)

[O141-3] ICU・HCUにおけるデスカンファレンス導入後の看護師の終末期ケアに対する意識の変化について

高端 洋恵, 出嶋 由佳, 延堂 麻紀, 迫田 祐子, 田仲 みどり (神戸大学 医学部 附属病院 集中治療部)

【目的】2014年救急・集中治療部における終末期医療に関するガイドラインが発表されたがICUでは急性期の患者が多く治療が優先される場面も多い.先行研究で看護師の終末期ケアにおける困難感の解消方法にデスカンファレンス(以下DC)が有効である事が示唆されている1).A病院ICUではDCを設ける機会が無く2017年度DC導入に向けて終末期ケアに対する看護師の意識調査を行い結果をもとにDC導入を開始した.DC導入前後の終末期ケアに対する意識調査を比較し変化を明らかにし,より良い終末期ケア提供のための資料とする
【方法】ICU看護師79名に対し終末期ケアに対する考え方や価値観についてはターミナルケア態度尺度日本語版(FATCOD-B-J)を用いて無記名のアンケート調査を行った.尺度に含まれない終末期に対する考え方等は独自の質問項目を作成した.FATCOD-B-Jの評価尺度は5段階であり得点が高いほど終末期ケアに対する態度が積極的,前向きである事を示す.分析方法は記述統計とMann-Whitney-U検定を行った
【DCの概要】昨年度の結果より死にゆく患者とのコミュニケーションにおけるジレンマを抱えている事や面会制限という環境特性が困難感に繋がる事が推察された.これより死にゆく患者とのコミュニケーションや面会制限の調整に焦点を当てたDCを行う事で終末期ケアの困難感の軽減に繋がると考えDCを導入した
【倫理的配慮】文書を用いて研究の主旨を説明し協力は自由意志であり協力の有無で不利益を被ることは一切ない事を示した
【結果及び考察】回答数53名,回答率は67.1%であった.「私がケアをしている死にゆく患者がきっと良くなるという希望を失ったら私は動揺するだろう」の項目においてDC導入前後で有意差が見られた(P=0.04).また,DC導入前に点数が低かった「死にゆく患者と差し迫った死について話をする事を気まずく感じる」の項目や「家族は死にゆく患者ができる限り普段通りの環境で過ごせるようにするべきだ」の項目でDC導入前後で平均値の上昇がみられた.これらより患者とのコミュニケーションや面会制限の調整に焦点を当てたDCを行う事でICU看護師の動揺やジレンマは軽減される傾向にあると推察された.また終末期を迎える患者や家族が過ごす環境を調整する事の意識も高まったと考えられる
【引用文献】1)宮崎美保,渡邉百合香:終末期医療を困難にする要因からみたICUの現状と看護師の困難感,東邦看護学会誌,第13号,43-48,2016