第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

終末期

[O142] 一般演題・口演142
終末期02

2019年3月3日(日) 09:45 〜 10:35 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:小池 薫(京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学分野)

[O142-6] Advance Care Planningについて考えさせられたCancer Emergencyの3例

竹上 徹郎, 堀口 真仁, 安 炳文, 香村 安健, 的場 裕恵, 藤本 善大, 榎原 巨樹, 箕輪 啓太, 八幡 宥徳, 松室 祐美 (京都第一赤十字病院 救命救急センター 救急科)

【背景】近年、終末期の治療意思決定を予め行うAdvance Care Planning (ACP) という考え方が拡がってきている。しかし、進行癌患者や認知症を呈しているとACPまでは策定されておらず、救急搬送された時は治療方針決定に難渋することがある。【臨床経過】症例1:78才男性、路上で意識障害を呈していたため救急搬入された。血液検査で著しい汎血球減少を認め、頭部CT検査にて慢性硬膜下血腫を認めた。汎血球減少の原因とし骨髄異形成症候群が疑われ輸血を行い、JCS3の意識障害の原因として慢性硬膜下血腫を認めたが手術拒否され内科的治療を行った。治療にて意識障害改善するもJCS2程度で軽度認知症を併存していると考えられた。家族など近親者は全くの不明で連絡とれず、多職種カンファや以前受診歴のある病院での情報を元に本人の意志確認を繰り返し行い治療は行わず緩和目的転院となった。症例2:72才男性、食事中に心肺停止となり救急搬入され、心肺蘇生に反応し意識回復した。進行した喉頭癌についてのACPが明確ではなく、かかりつけ医院を介しての治療元病院に紹介受診となった。症例3:53才女性、心肺停止にて救急搬入され、心肺蘇生にて自己心拍再開するも蘇生後脳症となった。再発性乳がんであったがACPについて家族内で意見が分かれており、最終的にDNAR希望され死亡された。【結論】進行癌患者や認知機能低下している患者には、ACPを意識した治療方針を早期に策定し病院を越えて共有することの有用性が示唆された。