第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

終末期

[O144] 一般演題・口演144
終末期04

2019年3月3日(日) 11:25 〜 12:15 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:櫻井 裕教(東京都済生会中央病院麻酔科)

[O144-6] 当院ER・HCU・ICU看護師の高齢者救急看護に抱く意識調査結果報告

田口 大1, 牧瀬 博1, 石田 浩之1, 大方 直樹2, 高桑 良平2, 田中 進一郎2 (1.勤医協中央病院 救急センター, 2.勤医協中央病院 集中治療室)

【背景】当院への救急車搬送傷病者数は年間約8,000台であり、そのうち70歳以上が52%を占める(2017年度)。2次救急病院を反映してか、救急車搬送傷病者の臨時入院率は約40%で、その3割がHCUへ入院しICU入院率は3%前後で推移している(年間約200名強)。当院のERとHCUとICUの看護単位は別々であり、高齢者救急看護への苦労や問題意識も様々であることが予見され、特にDNARやACP(Advance care planning)の認識に関して初めて横断的に調査を行ったので報告する。【目的】救急の現場、特に集中治療室での看取りに関して、現場看護師の意識を把握すること【対象】ER32名とHCU25名とICU 21名の看護師【方法】高齢者救急看護で苦労した経験とその具体的内容、DNARとACPの認知度、自由意見をアンケート方式で集計した【結果】回答率はER94%,HCU80%,ICU64%だった。高齢者救急看護での苦労経験の割合は新人を除きほぼ100%だった。具体的な苦労内容に関しては、ER/HCU/ICUで割合が共通していたのが、「主訴がはっきりしない」で50%前後だった。最も意見が多かったのは、「普段のADLが分からない」で53-79%だった。各部門で大きく意見が分かれたのが「治療方針が不明瞭」で、ERとHCUではそれぞれ2%と5%だが、ICUでは93%だった。DNARの認知度は全ての部門で100%だったが、ACPの認知度はHCUが最も高く65%で、ER37%、ICU14%だった。【考察】ACPは元来、患者および家族と密に関わる医療スタッフが築き上げてゆくプロセスが肝要であり、救急医療機関で早急に決定するものではない。現状では、かかりつけ訪問診療医や高齢者入居施設職員への周知・普及を進め、院内の救急および集中治療に携わる看護師のDNARやACPに関する理解度を高めるために、学習会開催は勿論のこと、かかりつけ医やケアマネとのケースカンファレンスを集中治療室でも行ってゆく必要性があるのかも知れない。