第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

感染・敗血症 症例

[O147] 一般演題・口演147
感染・敗血症 症例08

Sun. Mar 3, 2019 10:05 AM - 10:45 AM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:丹保 亜希仁(旭川医科大学救急医学講座)

[O147-3] 非HIV患者の術後補助化学療法中に生じたPneumocystis Jirovecii Pneumoiaの一例

城戸 教裕1, 大嶽 康介1, 望月 徹1, 伊藤 亮二2, 長谷川 智宏1, 渡邊 顕弘1, 石丸 直樹1, 菊池 広子1, 勝俣 範之2, 松田 潔1 (1.日本医科大学 武蔵小杉病院 救命救急科, 2.日本医科大学 武蔵小杉病院 腫瘍内科)

【背景】非HIV患者におけるPneumocystis Jirovecii Pneumoia(以下PCP)は死亡率が高く、治療法が少ないことでも知られている。その頻度は稀であるものの、薬剤性の免疫抑制時の症例が増加しているとの報告もある。今回我々は乳癌術後補助化学療法に併発した非HIVのPCPの症例を経験したので報告する。【臨床経過】60歳台女性。今回発症以前にも乳癌(Stage1)術後補助化学療法を行った際、肺炎を生じていた。いずれも軽度であり、今回、3回目の化学療法中に呼吸困難を呈した。経過よりPCPが疑われ、当院腫瘍内科へ入院の上で抗菌薬(ST合剤・LVFX)投与、ステロイドパルス(mPSL 1000mg)を投与されていた。しかし呼吸の改善を得られず、呼吸困難を呈し当科緊急紹介となった。 緊急気管挿管の後、集中治療室へ入室とした。CT検査ではびまん性のすりガラス影を認めた。P/F ratio 150の酸素化不良が遷延。PCPを強く疑い、ST合剤を中心とした集学的治療を開始した。後に喀痰PCR検査にてPCPの確定診断に至った。β-Dグルカン値の改善を得たもののP/F ratioの改善を得られず、Day 10よりペンタミジン(PM)を追加投与した。 その後も改善を得られず、Day13のCT followにて間質性肺炎を否定できない所見を認めた。間質性肺炎急性増悪と考え、ステロイドパルス(mPSL 1000mg×3日間)を施行。また気管切開術・CHDF・PMXを併用するも呼吸の改善を得られなかった。治療が奏功せずDay25に死亡退院となった。【結論】非HIV患者における免疫抑制下でのPCPは非常に重篤である。抗菌化学療法はST合剤が第一選択とされ、次いでPMが挙げられる。今回、ST合剤の投与にて一時的に採血・画像検査の改善を得られたが、呼吸の改善を得られなかった。この時点でのPCP治療に関する明確な指針は無く、感染症科との協議の結果、第一選択薬・第二選択薬の同時投与を選択したが奏功しなかった。非HIV患者の免疫抑制下でのPCPは稀ではあるものの近年増加傾向にあるため、若干の文献的考察を交えて報告する。