第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 症例

[O156] 一般演題・口演156
呼吸 症例06

Sun. Mar 3, 2019 11:15 AM - 12:15 PM 第15会場 (国立京都国際会館1F Room H)

座長:北別府 孝輔(倉敷中央病院 集中医療センター)

[O156-4] 人工呼吸器非同調に対しV60ベンチレータを使用して改善した2症例

松村 考志, 村島 浩二, 濱本 英治, 竹林 洋子, 伊藤 勇, 末永 順子 (独立行政法人地域医療推進機構九州病院 臨床工学室)

【背景】オープンICUでは集中治療専従医が不在のため、人工呼吸器に不慣れなDrも人工呼吸管理を行う必要がある。またDrは外来診察や手術等でICUに常駐しないため、人工呼吸患者の管理が不十分となりやすい。結果として、人工呼吸器の不適切設定や人工呼吸器と患者呼吸の非同調が見受けられることがある。人工呼吸中の非同調は、人工呼吸器関連肺障害や人工呼吸器装着期間の延長、患者予後にも影響を及ぼす。今回、臨床工学技士(ME)が患者状態の評価に加わり、人工呼吸器非同調に対して呼吸器の設定変更だけでなく、V60ベンチレータを使用することで改善した2症例を報告する。【症例提示】症例1:31才男性、身長178cm、体重92kg、バルサルバ洞動脈瘤へのベントール手術後に人工呼吸器管理(器材:Servo i)となった。11日後に、「息が吸えない」という患者の訴えと人工呼吸器の非同調を看護師(Ns)がMEへ連絡した。MEは人工呼吸器グラフィックモニタから、吸気努力が強く、吸気流量不足による、患者不穏と酸素化不良と判断した。ターミネーションクライテリアやサポート圧の調整で改善はなかった。Dr、Nsと協議し、吸気流速値が高いV60ベンチレータに変更すると、非同調と患者不穏は消失、酸素化は改善し2日後に抜管となった。症例2:80才女性、身長145cm、体重42kg、下部消化管穿孔術後・誤嚥性肺炎に対し人工呼吸器管理(器材:Servo i)となった。10日後に、グラフィックモニタ上でファイティング様の非同調波形、最高気道内圧の異常高値(33cmH2O)を認めた。Dr・NSと協議し、より高いサポート圧による換気量確保の必要性から、人工呼吸器を呼気弁から呼気ポートタイプのV60ベンチレータへ変更した。その結果、ファイティング様非同調波形は消失し、機種変更前と同量の換気量で最高気道内圧は25 cmH2Oへと改善した。【考察】MEによる毎日の呼吸状態評価とICUに常駐するNsによる早期の対応により、鎮静、筋弛緩薬を使用せずに人工呼吸の非同調を改善できた。患者と人工呼吸器の非同調の対策として、V60ベンチレータを使用することも有効である。