第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

新生児・小児 研究

[O161] 一般演題・口演161
新生児・小児 研究04

2019年3月3日(日) 09:25 〜 10:05 第17会場 (国立京都国際会館2F Room J)

座長:天笠 俊介(自治医科大学附属さいたま医療センター救急科)

[O161-5] 小児溺水症例に腹臥位管理は有効か?

後藤 保, 佐藤 紘一, 濱上 知宏, 藤崎 修, 松井 大作, 大江 崇史, 番匠谷 友紀, 上田 泰弘, 星野 あつみ, 小林 誠人 (公立豊岡病院 但馬救命救急センター)

【背景】小児期の主たる死亡原因である不慮の事故死のうち、溺水は交通事故についで頻度が多い。溺水の病態は肺損傷と低酸素血症に続発する臓器障害であり、物理的障害と低酸素からの速やかな離脱を目標とした迅速な対応を要する。近年当センターでは、呼吸不全を呈し、画像上背側の浸潤影の目立つ小児溺水症例に対して、集中治療室入室直後より積極的に腹臥位管理を導入している。【症例】2016年4月から2018年8月の期間に、8例が溺水で救急搬送となり、5例に気管挿管、人工呼吸管理が施行された。5例のまとめを表に示す。症例1は通常の管理を行い、入室から人工呼吸器の圧設定の減量開始まで11時間を要した。この経験を踏まえ、当センターでは早期の呼吸状態の改善を目指し、胸部CTで背側の浸潤影を認める小児溺水症例に対して入室直後からの腹臥位管理を導入する方針とした。症例2から5の4症例は中央値で2.5時間の腹臥位管理時間を施行され、腹臥位管理前後のP/F値(中央値)は193.5と477.5、腹臥位管理前後のCrs/kg(Vt(ml)/ΔP(cmH2O)/体重(kg))(中央値)は0.69と0.99であった。腹臥位管理を施行した4症例の呼吸器の圧設定の減量開始までは4時間であった。全例が生存退院した。【結論】小児の溺水症例に対する腹臥位管理の有効性について検討を行った文献は渉猟し得なかったが、小児溺水患者に対する腹臥位管理は早期の呼吸状態改善に寄与する可能性がある。
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