第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O23] 一般演題・口演23
感染・敗血症 研究02

Fri. Mar 1, 2019 4:20 PM - 5:10 PM 第8会場 (国立京都国際会館2F Room B-1)

座長:木下 浩作(日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野)

[O23-5] 当院におけるエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の治療成績

森岡 貴勢, 八十川 雄図, 小島 明子, 田中 亜季, 桑原 成郎, 柴 將人 (社会医療法人 蘇西厚生会 松波総合病院)

【背景】エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)は、血中のエンドトキシンに対して直接的な吸着療法を行う保険収載された治療法であるが有効性においては、エビデンスが十分に検討されていない。これまで、EUPHAS trialからはPMX-DHPが有効な患者群が存在することが言われている。また、他の研究では、各症例の感染部位が予後関連因子として重要な要素となることを示している。【目的】今回、我々は当院ICUにおいてPMX-DHPを施行してきた敗血症性ショック患者症例を後方視的に検討した。【方法】対象期間は、2014年11月から2018年8月の間で、対象症例としては、敗血症性ショックでPMX-DHP療法を施行した症例とした。対象症例において、年齢・男女数・敗血症の原因疾患・PMX-DHP平均施行時間・PMX-DHP施行前のAPACHE II score・28日死亡率・施行前と施行72時間後のSOFA score/CAI(Catecholamine Index)/MAP(Mean Atrial Pressure)/PaO2/FiO2 ratio について調べ、28日後における生存群と死亡群における違いや症例ごとにおける比較検討も行った。【結果】対象は34例で、症例の平均年齢は69.1歳であり、男性が23名であり、28日死亡率は38.2%であった。生存群と死亡群で比較すると、APACHE II scoreの中央値は生存群で24、死亡群で29点と生存群で有意に低かった。ΔSOFA・ΔMAP・ΔCAIは、生存群においてそれぞれ4.6点・43.0・7.4、死亡群において3点・27.6・4と生存群において有意に高かった。原因疾患としては、肺炎10例、腹部10例、尿路4例、下肢2例、他5例、不明3例であった。腹部感染症や下肢においては、肺炎よりもAPACHE II scoreが高いにも関わらず、28日死亡率がそれぞれ低かった。特に過去の報告と同様に、尿路感染症と下肢感染症においては、28日死亡率が0%であった。ΔCAIで見ると、腹部と尿路感染症において、それぞれ9.4・7.3と全体平均の6.1に比べて有意に高かった。【結論】本研究において、SOFAや循環動態の改善反応が良いことが、良好な転帰に関連すると推察される。また、感染部位が臨床成績に影響するとも考えられた。そのため、感染部位や重症度を考慮しながら治療戦略の一つとしてPMX-DHPを検討しても良いと考える。