第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

補助循環 症例

[O26] 一般演題・口演26
補助循環 症例01

2019年3月1日(金) 09:00 〜 09:40 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:大山 慶介(かわぐち心臓呼吸器病院)

[O26-3] Carfizonibによる薬剤性肺炎と考えられた呼吸不全に対しvenovenousECMO使用下にステロイド療法を行った一例

秋山 太助1, 小畠 久和1, 村上 紗羅2, 河野 通彦1, 熊澤 淳史1 (1.堺市立総合医療センター 集中治療科, 2.堺市立総合医療センター 麻酔科)

Carfilzomib(以下CFZ)は再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬である。添付文書上の合併症として間質性肺疾患(0.9%)があるとされている。観察研究でも重症な間質性肺疾患が報告されており、死亡例もみられる。今回、CFZ使用後に低酸素血症と両側間質性陰影を呈しvenovenous ECMO(以下V-V ECMO)を導入したが、ステロイド療法で改善し良好な転機をとった一例を経験したので報告する。【症例】70歳代女性。合併症:高血圧、高脂血症、形質細胞性白血病(plasma cell leukemia以下PCL)。2年前に腰痛を主訴に受診しPCLと診断された。Bortezomib Cyclophosphamide Dexamethasone療法を4コース施行し寛解した。以後、経過観察していたが入院の3か月前ほどから左頸部腫瘤を自覚し再発と考えられた。入院の上CFZ Dexamethasoneで治療を開始した。3コース施行し症状改善したため退院となった。外来で化学療法継続し、入院2日前に5コース目を開始した。入院当日(第1病日)に、自宅で倒れている所を発見され救急搬送された。搬送時、呼吸数34回/min SpO2 50%(純酸素10L/min)の呼吸促拍状態であった。CTでは、両側性の広範なすりガラス影を認め呼吸不全の原因と考えられた。心筋逸脱酵素の上昇を認めず、肺動脈楔入圧17mmHgと心原性肺水腫は否定的であった。CTで腫瘍の縮小効果がみられPCLの進行に伴う呼吸不全も否定的で、感染性肺炎もしくは薬剤性肺炎と考え抗生剤治療とステロイドパルス療法を施行した。ICU入室後に挿管人工呼吸管理としたが、PEEP16でP/F70と酸素化が保てなかったためV-V ECMOを開始した。ステロイド療法が奏功し、肺陰影と酸素化が改善したため第5病日にECMOを離脱した。第6病日に人工呼吸器を離脱し抜管できたため第7病日にICU退室した。【考察】CFZによる薬剤性肺炎と思われる呼吸不全の一例を経験した。CFZは2016年に使用認可された薬剤で、国内での有害事象の報告に乏しい。本症例のように、重篤化するがステロイド反応性の高い薬剤性肺炎の症例も存在する可能性がある。重篤化するが改善する可能性もあるため、通常の人工呼吸で酸素化が保てない場合、V-V ECMOが検討される。