第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

消化管・肝・腎 症例

[O31] 一般演題・口演31
消化管・肝・腎 症例02

Fri. Mar 1, 2019 2:50 PM - 3:50 PM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:真弓 俊彦(産業医科大学医学部 救急医学)

[O31-3] S状結腸癌に関連した腹部大動脈血栓症の1例

有馬 孝博, 室谷 研, 河本 健, 木庭 雄至, 大村 孝志 (東大和病院 外科)

【症例】54歳女性,喫煙歴以外にとくに既往疾患はなく,約3ヶ月間続く全身倦怠感と浮腫,下痢,左下腹部の腫瘤を主訴に来院した.胸腹部CTにて腎動脈直上から大動脈分岐部まで約50mmに渡って血栓を認め,腹部超音波にて浮動性であった.ProteinC,Sが低値であったが、それ以外に血管炎や膠原病を示唆する所見はなかった.未分画Heparinによる抗凝固療法を開始し,開始2週間後には同部位の血栓は完全消失した.血栓消失後に開腹S状結腸切除を行い,切除標本の病理診断はadenocarcinomaであった.術後経過は良好であり,ProteinC,S低値も改善し,悪性腫瘍に関連した凝固亢進状態は消失したと考えられた.抗凝固療法を終了し,術後4ヶ月の胸腹部CTでは血栓の再発はなかった.【考察】悪性疾患関連の大動脈血栓は稀であり,抗凝固療法単独あるいは外科的治療のいずれが優れているか定かでない.文献をレビューし18例の症例を検討したところ,塞栓症の再発や増悪は抗凝固療法群で2/13例(15.4%),外科的治療群で1/5例(20%)であり,両者の治療効果はほぼ同等であった.【結論】悪性疾患に伴う大動脈血栓症に対して,抗凝固療法単独による治療開始は妥当であると考えられた.