[O36-4] 当院のうっ血性心不全(以下CHF)診療に於ける重症系ユニット創設の効果;開設前1年と開設後3年目の比較
【背景】日本の超高齢化に伴い,高齢者心不全診療の医療経済上の重要性が増しているが,心不全集中治療適応基準記載はガイドライン上にない.昨年の本学会にて心不全治療効率の指標として入院前後のBNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)値の減少率として, 一般病棟の中間の重症度管理施設であるHCU開設前1年間と開設後2年間を比較したが,治療効率は同等であった.が症例を分析すると,開設後2年目のHCUと同等の重症度管理基準施設としてのCCU直後1年目は未だ運用に慣れておらず,CCU利用を避ける傾向があった.そこで開設前1年間とCCU運用に慣れた開設後3年目を比較する事は有意義と考えた.【目的】当院の集中治療は2015年6月~ICUと一般病棟の中間の重症度管理施設であるHCU,更には2016年6月~HCUと同等の重症度管理基準施設としてCCUが開設,ICU,CCU,HCUの3本立てとなった(また当院には集中治療管理をする別の施設として救命センターがある).HCUレベルの重症度管理基準施設開設により心不全診療の治療効率が向上した,との仮説を検証する.【方法】2015年6月HCU創設前1年間,後3年目の当院心不全入院患者をDPC分析ソフトEVEで抽出,電子カルテ診療録を対照確認,主要評価アウトカムを心不全治療効率とした症例対照研究.【結果】HCU開設前(I)群292件,開設後3年目HCU+CCU(I+H+C)群393件で心不全入院治療前後にBNPが計測されていない,電子カルテ病歴から心不全入院でない,死亡退院した症例を除外すると,I群231件,I+H+C群277件.各群の心不全入院治療前後のBNP値減少率はI群43.9%,I+H+C群57.9%でt検定ではp=0.002でありBNP値減少率は有意に上昇した. 【結語】HCUレベルの重症度管理基準施設開設により心不全診療の治療効率は悪化し向上は認めなかった.