第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 研究

[O36] 一般演題・口演36
循環 研究01

2019年3月1日(金) 11:00 〜 11:50 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:上田 恭敬(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター)

[O36-5] STEMI患者に対する病院前心電図伝送・クラウド共有システムの有効性についての検討

大久保 美穂1, 鵜木 崇1, 高木 大輔3, 川野 雄一郎3, 田村 祐大1, 田口 英詞2, 澤村 匡史1, 坂本 知浩2, 前原 潤一3, 中尾 浩一2 (1.済生会熊本病院 集中治療室, 2.済生会熊本病院 循環器内科, 3.済生会熊本病院 救急総合診療センター)

【目的】ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に関しては発症から再還流までの時間が予後に関連することが言われている。医療機関としてはDoor to balloon time (DTBT)を短縮する事が重要と考えられ、ガイドライン上もDTBT90分以内が推奨されている。今回当施設でDTBTの短縮を目的に病院前心電図伝送・クラウド共有システムを導入しその有効性を検討した。【方法】2018年5月末から9月初旬の間に当施設へ救急搬送の多い宇城広域消防5分署に5台のモバイル心電計を貸与し、「胸痛、呼吸苦、動悸、失神、非外傷性ショック」を主訴とした患者に対し、病院前で12誘導心電図を測定し専用クラウド伝送システムを用いて伝送した。伝送心電図は24時間全例循環器内科医が確認し、必要があれば病院到着前に緊急カテーテル召集を行った。観察期間内に搬送されたSTEMI患者において伝送及び非伝送患者のER滞在時間及びDTBTを比較した。【成績】観察期間内に62症例の心電図伝送があり35例 (56%)が緊急入院となった。 一番多い主訴は胸痛で29例 (47%)、次いで動悸9例 (15%)であった。最終診断は急性冠症候群及び非特異的胸痛がそれぞれ13例 (21%)と最多で、次いで脳卒中6例 (10%)であった。急性冠症候群は13例(21%)(STEMI 5例、Non-STEMI 2例、亜急性期心筋梗塞1例、不安定狭心症5例)認め、緊急カテーテル検査は9例 (15%)に行われた。伝送のあった5例と同期間内に来院した非伝送の31例のSTEMI患者を比較した結果、ER滞在時間は13.2分短縮(伝送:23.4分 v.s.非伝送:36.6分)、DTBTは10.0分短縮 (伝送:55.4分 v.s 非伝送:.65.4分)を認めた。また、救急隊現場滞在時間は伝送の有無で有意な差は認めなかった(伝送:9.0分 v.s. 非伝送:9.4分)【結論】病院前心電図伝送システムの導入によりDTBTの短縮出来る可能性が示唆された