第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 症例

[O37] 一般演題・口演37
循環 症例03

2019年3月1日(金) 14:00 〜 15:00 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:坂口 嘉郎(佐賀大学医学部附属病院麻酔科)

[O37-7] 試験穿刺のみで開窓術効果が得られ、軽快した心タンポナーデの一例

玉城 正弘, 新里 泰一, 仲間 康敏, 仲間 敏春, 大城 和也, 高橋 陽 (友愛会 豊見城中央病院 集中治療科)

【背景】心タンポナーデに到ると緊急心膜ドレナージを必要とすることが多い。今回、試験的穿刺のみで心膜腔と左胸腔が交通し、心タンポナーデが軽快した症例を経験した。【症例】63歳男性。入院 8日前に全身倦怠感と上腹部痛の精査加療で5日間入院した。軽度から中等度の心嚢液を認めたが、入院期間中は増悪しなかった。発作性心房細動が認められ、抗凝固剤(DOAC)が処方され退院したが、2日後には、眩暈を主訴に救急室来院となった。血圧は72 / 56mmHg、脈拍数は85/分で、心エコーでは心臓タンポナーデの所見を認めた。生理食塩水500mlを3回の急速静注で血圧は一過性に上昇したが、その度に効果は一過性であったため、心嚢液ドレナージを実施することとなった。穿刺のアプローチ部位として、剣状突起下は抗凝固療法中で制御不能な肝出血が予期され、心エコーで心嚢液が大量貯留していることが確認された心尖部穿刺アプローチを選択した。 22G針による局所麻酔および試験穿刺で 2mlの血性心嚢液を採取したところ、血行動態が安定し心嚢液も減じたので、ドレナージチューブを留置せず経過をみた。その後も血行動態は安定し、翌朝の胸部CTで、心嚢液の消失と左側胸水の新たな出現が認められた。【結論】試験穿刺のみで心膜腔と左胸腔が交通し、心膜開窓術効果が得られた。抗凝固療法で刺入部の止血がしづらかったことと、左室心尖部アプローチで穿刺したことが心膜腔と左胸腔に交通を形成したと思われた。これまで同様な症例報告はなく、紹介するととする。