第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 研究

[O38] 一般演題・口演38
循環 研究02

2019年3月1日(金) 15:00 〜 15:50 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:小坂 誠(昭和大学横浜市北部病院麻酔科)

[O38-6] Maze手術後の心房細動再発と術中輸液量の関係を検討した後ろ向き観察研究

久保 直子, 南 公人, 吹田 真一, 下川 亮, 吉谷 健司, 大西 佳彦 (国立循環器病研究センター 麻酔科)

【背景】Maze手術は慢性心房細動を有する患者の僧帽弁手術時に併施することで術後脳梗塞の発症を抑制するとの報告があるが、手術施行後5年間の洞調律復帰率は61-85%である。術中輸液バランスが周術期心房細動発症のリスク因子の一つであると報告されており、術中体液バランスの調整で術後早期の心房細動再発を抑制できる可能性がある。【目的】術中体液バランスとMaze手術後の心房細動再発率は関連すると仮説を立て、後ろ向きに検証する。【方法】2009年4月から2018年3月に当院でMaze手術を受けた患者352人を対象とし、ICU滞在中の心房細動再発と、術中輸液量、輸血量、出血量、尿量、心血管作動薬投与量、術後ICU入室時の心拍出量係数、混合静脈血酸素飽和度、中心静脈圧を電子カルテから抽出した。主要評価項目は心房細動再発と術中体液バランスの関連、副次評価項目は心房細動再発とICU入室時の心拍出係数、術中心血管作動薬投与量の関連とした。各評価項目はF波Amplitude≦0.1mV、5年以上持続する心房細動、年齢、性別、術前左室駆出率、術中カルペリチド投与量の6つの因子で調整し、ロジスティック回帰分析を用いて検討した。両側検定のP<0.05を有意とした。【結果】心房細動再発は69人(19.6%)で起こり、Maze手術後の心房細動再発と輸液量(オッズ比0.58,95%CI 0.40-0.84,P=0.0041)、術中カルペリチド投与量(オッズ比0.08,95%CI 0.01-0.61,P=0.016)は有意に関連していた。【結論】 Maze手術後の心房細動再発は術中体液バランスのプラスが大きく、カルペリチド使用量が多いほど起こりにくい。
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