[O41-1] 超音波照射によるトロンボモジュリン製剤の効果増強作用
背景:組織に超音波照射を加えることで細胞に小孔を開け、薬剤を細胞内に浸透させるSonoporationといったメカニズムがin vitroにおいて報告されている。目的:急性肝不全モデルに対してrecombinant thrombomodulin (rTM)投与後に肝臓へ超音波照射を加えることでrTMの効果が増強するかを検討した。方法:lipopolysaccharide (LPS)/D-galactosamine (GalN)投与による急性肝不全モデルマウス作成30分後にrTM 1mg/kgもしくは5mg/kgを尾静脈から投与した。さらに超音波を照射するUS群はrTM投与直後、肝臓に超音波を照射した。検討はLPS/GalN投与から7時間後の血漿AST、ALT、HMGB1、さらに肝臓内rTM濃度を評価した。結果:rTM 5mg/kg群のAST、ALT値はrTM 1mg/kg群より有意に低く(P<0.05)、rTMは濃度依存性に肝酵素の上昇を改善させた。また、rTM 1mg/kg+US群はrTM 1mg/kg群よりも有意にAST、ALT値を低下させ(P<0.01)、超音波照射はrTMの効果を増強していた(別図)。さらに、HMGB1濃度はrTM 1mg/kg+US群がrTM 1mg/kg群よりも有意に低かった(P<0.05)。肝臓内のrTM濃度は、rTM 1mg/kg群とrTM 1mg/kg+US群の間やrTM 5mg/kg群とrTM 5mg/kg+US群の間に肝臓内rTM濃度の差は認められず、超音波照射による肝臓内へのrTMの取り込み効果は認められなかった。結論:今回の検討からrTMは濃度依存性にAST, ALTの上昇を有意に抑制し、超音波照射を加えることでその効果はさらに増強した。しかし、超音波照射による薬剤効果の増強はSonoporationによる細胞内薬剤浸透でないことから、新たなメカニズムの解明が求められる。