[O41-6] 心不全合併敗血症患者におけるDIC早期診断にフェリチン測定が有用である可能性がある
背景:DICは敗血症患者の予後に関わる重要な病態であり、その早期診断・治療は重要である。しかし実臨床の現場においては、心不全合併敗血症患者ではその病態が心機能、敗血症いずれに起因するものか判別しがたいことが多く、結果DICの診断・治療が遅れてしまうことが少なくない。マクロファージ活性化の簡便なマーカーとしてフェリチンがあるが、フェリチンの測定が心不全合併敗血症患者のDIC早期診断に有用である可能性がある。目的:心不全合併敗血症患者においてフェリチン測定がDIC早期診断に有用であるかを明らかにする。方法:心不全の初期診断でCCU入院となったが、敗血症・DICを疑いフェリチン測定を行った7例のEF,BNP、フェリチン値を求め、またフェリチン測定時(Day1)、測定翌日(Day2)のAPHCHEII score、SOFA score、急性期DICスコアDIC新基準のスコアを比較した。またDay1、Day2時点でのDIC診断の有無、Day1から治療までの日数、DIC離脱、生存について後ろ向きに検討した。結果:7例中3例が慢性心不全増悪、4例が急性心不全の診断で入院となっていたが全例で後に敗血症と診断された。基礎心疾患は虚血性心筋症が2例、拡張型心筋症が1例、大動脈弁狭窄症が1例、急性心筋梗塞が1例、たこつぼ型心筋症が1例、サルコイドーシスが1例であった。敗血症の原因疾患は5例が肺炎、1例が尿路感染、1例がカテーテル感染であった。EF 46±20%,BNP 1222±1074pg/mL,フェリチン 6701±5963ng/mLであった。APHCHEII score、SOFA scoreはDay1,Day2で差は認めなかったが(APHCHEII score;23.2±7.3 vs 23.7±7.1, p=0.70, SOFA score;10.1±2.4 vs 10.4±2.3, p=0.46)、急性期DICスコア、DIC新基準のスコアは有意に増加した(急性期DICスコア;3.7±1.3 vs 5.4±1.6, p=0.03, DIC新基準のスコア;5.3±2.0 vs 7.4±1.0, p=0.01)。Day1でDICの基準を満たしたのは急性期DICスコアで3例、DIC新基準で4例であったが、Day2では全例で基準を満たした。Day1で2例、Day2で5例リコモジュリンが投与された。5例がDICを離脱し、4例が生存退院した。考察:フェリチンが異常高値を示す症例では高率にDICを合併する。心不全合併敗血症患者においてDICの診断に難渋する時にはフェリチンの測定が有用である可能性があると考えた。