[O49-5] 小児院外心停止に対する胸骨圧迫のみCPRの臨床的意義
【背景】小児院外心停止(OHCA)例に対する胸骨圧迫のみのバイスタンダーによる蘇生法(C-CPR)は, 呼吸補助の実施が困難な場合に推奨されている.【目的】小児OHCAを原因別に分類して, C-CPRの意義を検討すること【方法】小児OHCAの全国集計データ(n=1466, 2013-2016, 1-17歳のOHCAのうち救急隊蘇生施行例)を用いた観察研究である. 内因性(n=959, 65%)と外因性(n=507, 35%)に分け, C-CPR群と標準的CPR群の1か月後の転帰を比較した.【結果】内因性心停止の場合, C-CPR群の転帰良好割合は, 標準的CPR群と比較して有意差は無かった(粗生存率17.8% vs 21.0% [P=0.23], 粗CPC 1-2率9.5% vs 12.4% [P=0.19]). 外因性心停止の場合, C-CPR群の転帰良好割合は, 標準的CPR群より有意に低かった(粗生存率8.9% vs 19.0% [P<0.01]、粗CPC 1-2率1.7% vs 10.8% [P<0.001]). 交絡因子調整後も, 内因性 (調整OR:生存, 0.90[95%CI 0.60-1.35], P=0.62; CPC 1-2, 0.83[95%CI 0.47-1.49], P=0.54; 傾向スコア(PS)調整後生存率21.8% vs 19.9% [P=0.63], CPC 1-2率12,6% vs 11.4% [P=0.72])および外因性(調整OR: 生存, 0.50 [95%CI 0.27-0.93], P<0.05; CPC 1-2, 0.22[95%CI 0.07-0.64], P<0.01; PS調整後:生存率 9.7% vs 19.3% [P<0.05], CPC 1-2率2.8% vs 10.3% [P<0.05])とも同様の結果であった. また, 内因性集団におけるPS調整後の14因子を用いた多重ロジスティク回帰分析では, バイスタンダーによる除細動あり・目撃あり・初期心電図が除細動可能な波形あり・アドレナリン投与なしの4因子が有意な神経学的転帰改善因子であった.【結語】胸骨圧迫のみのバイスタンダーCPRは, 1歳以上の内因性小児OHCAに対して標準的CPRと同等の効果が期待される. しかし, 外因性OHCAの場合は, 標準的CPRの方が推奨されると考えられた.