[O53-3] 劇症型心筋炎に対するECMO離脱後、Candida parapsilosisによる感染性心内膜炎が疑われた小児例
【背景】Candida parapsilosisは、カテーテル関連血流感染症の起因菌の一つで、日和見感染症の原因菌でもある。健常な小児での感染例はごく稀で、真菌性感染性心内膜炎に関する報告もない。成人例では致死率が非常に高く早急な対応が必須とされているものの、抗真菌薬の選択や治療期間などコンセンサスを得た治療方法は定まっていない。
【臨床経過】2歳男児。嘔吐・不穏にて夜間救急外来受診。受診後、心肺停止となり蘇生開始。ROSC後、頸動静脈アプローチにて体外式膜型人工肺(V-A ECMO)、大腿静脈より持続血液透析濾過(CHDF)を導入した。継時的に心機能の改善を認め、第13病日にV-V ECMOへのコンバートを経て、第21病日にECMOを離脱した。第22病日、心エコーにて三尖弁の肥厚と1cm台の付着物を認め、感染性心内膜炎を疑い、血液培養と抗菌薬を開始した。後日、1/3セットからCandida parapsilosisのみ検出したことから、真菌性心内膜炎を懸念し、L-AMBを開始した。48時間ごとに血液培養を確認したが、L-AMB開始後は検出されなかった。電解質異常などの副作用もなく、8週間の連日投与を完遂し、継時的に三尖弁の付着物は縮小・器質化、TRも改善しつつあった。しかし、呼吸不全の増悪により第113病日に永眠した。
【結論】ECMO管理中は、太めのカテーテルを留置が必須となり、その期間も長期になりやすい。加えて、循環不全からカテーテル挿入部の皮膚欠損が広がり、易感染状態も重なるため、真菌感染に罹患しやすい背景があったと推測された。また、ECMO送血菅からのflowが常に三尖弁に吹き付けていたことから、弁自体に感染が付着しやすい状態が生じた可能性も考えられた。抗真菌薬治療は完遂でき、経過からもCandida parapsilosisの感染が直接死因となった可能性は低いと考えているが、 小児におけるECMO管理中は、呼吸・循環に対する対応に加えて、必発する感染に対する細やかな対応を含めた多角的な全身管理が求められる。
【臨床経過】2歳男児。嘔吐・不穏にて夜間救急外来受診。受診後、心肺停止となり蘇生開始。ROSC後、頸動静脈アプローチにて体外式膜型人工肺(V-A ECMO)、大腿静脈より持続血液透析濾過(CHDF)を導入した。継時的に心機能の改善を認め、第13病日にV-V ECMOへのコンバートを経て、第21病日にECMOを離脱した。第22病日、心エコーにて三尖弁の肥厚と1cm台の付着物を認め、感染性心内膜炎を疑い、血液培養と抗菌薬を開始した。後日、1/3セットからCandida parapsilosisのみ検出したことから、真菌性心内膜炎を懸念し、L-AMBを開始した。48時間ごとに血液培養を確認したが、L-AMB開始後は検出されなかった。電解質異常などの副作用もなく、8週間の連日投与を完遂し、継時的に三尖弁の付着物は縮小・器質化、TRも改善しつつあった。しかし、呼吸不全の増悪により第113病日に永眠した。
【結論】ECMO管理中は、太めのカテーテルを留置が必須となり、その期間も長期になりやすい。加えて、循環不全からカテーテル挿入部の皮膚欠損が広がり、易感染状態も重なるため、真菌感染に罹患しやすい背景があったと推測された。また、ECMO送血菅からのflowが常に三尖弁に吹き付けていたことから、弁自体に感染が付着しやすい状態が生じた可能性も考えられた。抗真菌薬治療は完遂でき、経過からもCandida parapsilosisの感染が直接死因となった可能性は低いと考えているが、 小児におけるECMO管理中は、呼吸・循環に対する対応に加えて、必発する感染に対する細やかな対応を含めた多角的な全身管理が求められる。