第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

検査法・モニタリング

[O63] 一般演題・口演63
検査法・モニタリング03

2019年3月1日(金) 16:30 〜 17:20 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:野村 岳志(東京女子医科大学集中治療科)

[O63-1] 集中治療室入室患者に対する天井設置型マイクロ波ドップラーセンサによる呼吸回数測定の正確性の検討

田中 宏幸, 横瀬 真志, 安西 晃子, 桑原 香折, 辻 匠子, 濱田 貴子, 柏木 静, 菅原 陽, 高木 俊介, 後藤 隆久 (横浜市立大学 医学部 生体制御・麻酔科学)

【背景】連続的な呼吸回数のモニターは病態変化の早期発見に重要である.カプノグラフィーや胸郭インピーダンス法を用いた呼吸回数測定が標準的な方法だが,対象者への接触型デバイスという欠点がある.介護領域で普及しつつある天井設置型のマイクロ波ドップラーセンサは非接触型の呼吸回数モニターであり,患者満足度やせん妄予防に貢献する可能性があるが,これまで集中治療室における正確性の評価はなされていない.【目的】天井設置型マイクロ波ドップラーセンサの呼吸回数測定の正確性を検討する事である.【方法】単施設の前向き観察研究である.2018年3月から2018年4月まで横浜市立大学附属病院集中治療室に入室し,呼気中二酸化炭素測定ポート付きフェイスマスクによる酸素投与が行われた連続症例を対象とした.担当看護師が目視によって1分間の呼吸回数を記録し,同一時刻のマイクロ波ドップラーセンサ,胸郭インピーダンス,およびカプノグラフィーによって測定された1分間の呼吸回数を記録した.主要評価項目はマイクロ波ドップラーセンサによる呼吸回数と看護師の目視による呼吸回数との間のバイアスと95%一致限界とした.二次評価項目は胸郭インピーダンス法及びカプノグラフィーと目視による呼吸回数との間のバイアスと95%一致限界とした.【結果】研究期間中に18名からマイクロ波ドップラーセンサは159ポイント,カプノグラフィーは100ポイント,胸郭インピーダンス法は162ポイントのデータを取得した.マイクロ波ドップラーセンサのバイアス(95%一致限界)は0.7(-6.5~7.8)回/分であった.胸郭インピーダンス,カプノグラフィーのバイアス(95%一致限界)はそれぞれ-0.1(-4.2~4.0)回/分および-0.4(-5.0~4.3)回/分であった.【結論】天井設置型マイクロ波ドップラーセンサによる呼吸回数測定の正確性は,胸郭インピーダンス法やカプノグラフィー法と比較するとやや劣る結果となり,集中治療室での使用を前提とした場合には改善の余地があると思われる.但し,非接触型連続モニターという特徴は患者・医療者にとってメリットがあり,今後はマイクロ波の照射範囲を考慮した設置場所の検討や患者自身や医療従事者の体動などが原因と考えられるアーチファクトを軽減させるような測定環境の改善が必要である.