[O64-5] 二次医療機関におけるICU緊急入室を要した救急患者の転帰の検討
【背景】Japanese Intensive care Patient Database(JIPAD)の2016年度レポートが公表されたが、大学病院や救命救急センターなどの高度医療機関が大半であり、成人重症症例は術後患者が多く含まれる。二次医療機関におけるICUに緊急入室した救急患者の転帰は不明である。【目的】二次医療機関におけるICUに緊急入室した救急患者の転帰を検討する。【方法】単一施設後方視的観察研究。当院は2名の救急科専門医と1名の救急科専属診療看護師が常勤し、open ICU8床を有する450床の二次医療機関である。政令指定都市の外郭に位置し、近隣に救命救急センターが3施設存在する。2017年4月から2018年3月の1年間、当院救急科に入院、18歳以上、救急外来からICUに入室し48時間以上滞在した患者を対象とし、重症度とICU退室時、病院退院時の転帰を検討する。なお、検討期間内には各診療科の人的かつ物的リソース不足のため、重症頭部外傷、多発外傷、熱傷、産科救急は受け入れていない。【結果】対象患者数は28例、男性78.6%、年齢*(歳)は7[62-78]、Acute Physiology and Chronic Health Evaluation(APACHE)II スコア *は24[20-30]であった。手術症例0%であり、敗血症性ショック15例(53.6%)、心肺停止蘇生後6例(19.4%)、外因性疾患は熱中症1例(3.6%)であった。人工呼吸器管理16例(57.1%)、急性血液浄化療法3例(10.7%)、ECPR4例(14.3%)であった。ICU滞在と入院期間*(日)はそれぞれ6[4-11]、46[17-98]であった。ICU退室時死亡は3例(10.7%)、退院時死亡は7例(25.0%)であった。【結語】 JIPADと比較し、重症度が高く、ICU退室時死亡、退院時死亡ともに高かった。周辺に救命救急センターが複数施設ある都市部の二次医療機関においてもICUに入室する救急患者の重症度、死亡率は高いことが示唆される。*中央値 [25th, 75th]