第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O70] 一般演題・口演70
リハビリテーション07

2019年3月1日(金) 16:50 〜 17:40 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:早川 桂(さいたま赤十字病院 高度救命救急センター)

[O70-4] ICU専任理学療法士の配属における臨床効果˜重症度、リハビリテーション介入に着目して˜

杉安 直樹1, 福屋 真悟1, 生駒 成亨1, 曷川 元3, 佐藤 圭路2, 崔 權一2, 佐藤 満仁2, 野坂 英樹2, 堂籠 博2 (1.米盛病院 リハビリテーション科, 2.米盛病院 集中治療部, 3.日本離床研究会)

【背景】当院ICUでは2015年4月より専任理学療法士2名を配属し複数担当制を導入した。専任理学療法士配属の効果は、当院福屋らの報告ではICU入棟中の1日平均単位数は増加し初回離床までの日数短縮が示された。しかし対象症例に軽症の患者やリハビリテーション介入が不十分と思われる症例が含まれていたため、より適切に検証する必要があると思われた。【目的】当院ICU専任理学療法士配属の前後における臨床効果を、重症かつ一定のリハビリテーション介入を行った症例で検証する事である。【方法】本研究は後ろ向き観察研究である。対象は、当院ICUに入棟した患者で専任理学療法士配属前の2014年10月から2015年3月の151例を除外基準で除外した25例(配属前とする)と、専任理学療法士配属後の2015年10月から2016年3月の86例を除外基準で除外した22例(配属後とする)の2群とした。除外基準は福屋らの報告と同様にリハビリ処方なし、入院中死亡例、ICU在棟期間1日、18歳未満とし、APACHE2スコア10未満またはICU在棟中の算定単位数10単位未満を追加した。調査項目は、初回離床までの日数、肺合併症の有無、ICU在棟日数、リハビリ開始までの日数、ICU在棟中の1日平均算定単位数と、年齢、性別、入院前歩行能力FAC、APACHE2スコア、敗血症の有無、糖尿病の有無、運動麻痺の有無とした。統計学的解析は、配属前後において群間比較を行い、配属前後を従属変数、群間比較で有意差を認めた項目を独立変数とし多重ロジスティック解析を実施、オッズ比を求めた。(P<0.05)【結果】配属後で初回離床までの日数は有意に短縮、ICU在棟中の1日平均単位数は有意に増加していた。ICU在棟日数をAPACHE2スコアで正規化(在棟日数正規化とする)し比較すると、有意に低下していた。多重ロジスティック解析で有意に関連する要因として抽出された項目は、ICU在棟中の1日平均算定単位数であった。【結論】専任理学療法士配属前後の効果として、初回離床までの日数は短縮し、ICU在棟中の1日平均単位数は2.3倍増加、さらに在棟日数正規化は短縮している可能性が示唆された。介入時間の増加すなわち専任理学療法士の配属が初回離床までの日数短縮につながったと考えられる。ICU在棟日数については、運動療法の効果に加え、スケジュール調整、介入指導による介入内容の充実、ICU看護師のリハビリ意識向上などの効果も考えられ、より詳細な検討が必要である。