第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

栄養

[O72] 一般演題・口演72
栄養01

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:35 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:大槻 穣治(東京慈恵会医科大学附属第三病院救急部)

[O72-3] 外傷患者におけるCONUTスコア測定の意義

水落 美紀1,2, 千葉 宣孝1,2, 杉田 篤紀1,2, 松崎 真和2, 馬渡 貴之1,2, 野村 悠里1,2, 斎藤 豪1,2, 櫻井 淳1,2, 木下 浩作1 (1.日本大学 医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野, 2.日本大学病院 救急科)

【背景】CONUT(controlling nutritional status)スコアは血液検査のみで栄養状態を評価する簡便な方法で急性期または慢性期の様々病態に対して利用されている。【目的】外傷患者における外傷の重症度と入院後の栄養状態を,CONUTスコアを用いて検討した。【方法】後ろ向き観察研究。2018年5月以降に当院に救急搬送され,1週間以上入院加療が必要であった外傷患者を対象とした。入院7日目のCONUTスコアで中等度または高度異常(5点以上)か否かの2群に分けて,患者背景,栄養の指標や微量元素値を評価した。次にCONUTスコアと転帰の関連を検討した。最後に入院時の外傷重症度スコア(injury severity score:ISS)とCONUTスコアの関連を検討し,ISSのカットオフ値を,ROC曲線を用いて算出した。【結果】対象症例は17例で,1週間後の測定因子のうちCONUTスコア2群間で有意差が認められたものは,アルブミン,プレアルブミン,リンパ球数,総コレステロール,リン,亜鉛であった(<0.01,<0.01,0.02,0.03,<0.01,0.01)。転帰の検討では,ICU滞在期間は,2群間で有意差が認められたが(中央値:8.0日 vs 14.0日,P=0.002),全入院期間は,有意差は認められなかった(中央値:22.5日 vs 26.0日,P=0.302)。入院時のISSは,2群間で有意差が認められた(中央値:9.0 vs 25.0,P=0.029)。CONUTスコア中等度または高度異常の有無に対するISSのROC曲線の下部面積は,0.84で,ISS14.5が感度+特異度の最高値を示した。【結論】ISS15以上の外傷患者は,入院7日目のCONUTスコアで中等度から高度異常となる可能性が示唆された。かかる症例では入院後から注意深く栄養状態の評価を行う必要があるかもしれない。