第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

栄養

[O75] 一般演題・口演75
栄養04

2019年3月2日(土) 11:05 〜 11:45 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:中村 利秋(長崎労災病院 救急集中治療科)

[O75-3] 人工呼吸器管理を要するCCU入室急性循環不全患者に対する早期経腸栄養効果の検討

西條 豪1, 安元 浩司2, 大橋 誠3 (1.独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院 栄養管理部, 2.独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院 循環器内科, 3.独立行政法人 労働者健康安全機構 大阪労災病院 糖尿病内科)

【背景】重症患者に対する早期経腸栄養は、感染性合併症減少や在院日数短縮などの報告があることから、各種ガイドラインで推奨されている。しかしながら、主に心原性循環不全患者を対象とするCCUでの実践報告は少ないと考えられる。【目的】人工呼吸器管理を要するCCU入室、心原性急性循環不全患者に対する早期経腸栄養効果および合併症発生状況について明らかにする。【方法】研究デザイン:単施設後ろ向き観察研究対象は2014年1月~2018年5月までに、当院CCU入室後48時間以内に挿管・人工呼吸器管理を実施した、20歳以上の心原性急性循環不全患者。これら患者のうち、挿管後48時間以内に経腸栄養を開始した早期群と、49時間以降に開始した晩期群の、挿管後10日間のデータを用いて、二群間比較を実施した。除外基準は、48時間以内の早期死亡および早期抜管、途中転院、途中転科、ICUから転室、早期に積極的介入を行わない方針となった患者。主要評価項目はCCU在室日数とし、副次評価項目は人工呼吸器装着期間、感染性合併症発生率および経腸栄養関連合併症とした。【結果】早期群は32例、晩期群は24例であった。入室時のSOFA scoreに両群間で有意差はなかった(中央値11vs10)。左心駆出率に有意差はないが、両群ともに低心機能であった(中央値33.5vs30%)。IABP・PCPS使用患者数、経腸栄養開始時のカテコラミンインデックスに両群間で有意差はなかった。経腸栄養開始までの時間は早期群が有意に早く(中央値26.2vs67.0hr、p<0.001)、4日目までのエネルギーおよびたんぱく質充足率も早期群が有意に高かった。CCU在室日数(中央値9.6vs14.4日、p=0.025) および人工呼吸器装着期間(中央値6.0vs8.5日、p=0.041)は早期群で有意に短縮していた。感染性合併症発生率は11(34%)vs14件(58%)p=0.074で有意差はないものの早期群に低い傾向が見られた。合併症として、経腸栄養開始後の血圧低下は3(9%)vs4例(17%)で有意差はなく、早期群で虚血性胃炎1例、晩期群で下部消化管穿孔1例が認められたが、いずれも経腸栄養との関連性は低かった。下痢、嘔吐の発生頻度に有意差はなかった。【結論】人工呼吸器管理を要するCCU入室心原性急性循環不全患者であっても、早期経腸栄養によるCCU在室日数および人工呼吸器装着期間の短縮が示された。また感染性合併症の減少傾向が見られ、早期経腸栄養開始に起因する合併症の発生増加はなかった。