第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 研究

[O85] 一般演題・口演85
呼吸 研究04

2019年3月2日(土) 11:15 〜 12:15 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:小野寺 睦雄(倉敷中央病院集中治療科)

[O85-2] 気管切開患者におけるカフ付き二重管式スピーチカニューレの側孔留置位置の検討

藤澤 美智子, 武居 哲洋, 土井 賢治, 永田 功, 山田 広之, 藤 雅文, 畠山 淳司, 杉木 馨, 田嶋 淳哉, 平田 晶子 (横浜市立みなと赤十字病院 救命救急センター)

【背景】カフ付き二重管式スピーチカニューレは、内筒抜去と一方弁装着によってカフ上の側孔から呼気が上気道に流れ発声を可能にする。外径12mmのカニューレでは、皮膚固定用のウイングから26mmの距離に、カニューレ先端に向かって縦幅11.2mm、横幅3.4mmの側孔が二つ存在する。誤嚥リスクが高い気管切開患者の発声・嚥下訓練等に有用だが、側孔が皮膚-気管瘻孔内に留置されているためと推測される一方弁装着時の発声困難と呼吸困難を散見する。
【目的】カフ付き二重管式スピーチカニューレの側孔留置位置について調査する。
【方法】単施設後ろ向き観察研究。2012年4月~2017年12月間に上記チューブ使用中に胸部 CT を撮影した患者を対象とし、5mm スライス CT 画像で側孔留置位置、皮膚-気管瘻孔長、皮膚からウイングの距離(チューブの浮き)について調査した。関連症状を電子カルテから抽出した。
【結果】対象となった33 人の患者のうち、側孔全体が気管内に留置されていた患者(適正群)が 18 人(55%)、側孔全体が皮膚-気管瘻孔内に留置されていた患者(不適正群)が 7 人(21%)、一部皮膚-気管瘻孔内に留置されていた患者(中間群)が 8 人(24%)だった。
皮膚-気管瘻孔長は、適正群の平均21.8±3.67mmに比較して、中間群26.6±4.93mm、不適正群30.1±8.15mmで有意に長かった(それぞれp=0.01, p=0.0017)。不適正群でチューブの浮きは平均10.0mm±4.60、最大で18.5mmだった。
バルブ装着時の症状は4名で記載があり、1 名は喘鳴増強と SpO2の低下、1 名はチューブ周囲からの呼気の漏れとSpO2の低下が観察された。1 名はカフを入れるとバルブの吸気時狭窄音が出現し発声ができなくなった。チューブの浮きが強かった1名で、時々発声ができなかった。
【結論】カフ付き二重管式スピーチカニューレ使用患者の 45%で、側孔の少なくとも一部が皮膚-気管瘻孔内に留置されていた。側孔留置位置を意識した患者管理で、スピーチタイプをより安全に使用することができると考えた。